暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
91話:門寺士≠フ貴重な戦闘シーン(後編)
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座っているであろう士の方へと顔を向ける。士は先程のなのはの言葉を聞いて、少し眉を中央に寄せていた。
なのはが顔を向けたことで両者の視線が交錯する。不機嫌な目とひどく動揺した目が、しばらくの間お互いの目を網膜に焼き付けるかのように、ジッと見つめ合う。
そんな中、先に視線を逸らしたのは士だった。そしてそれと同時に、三度ため息をついた。しかもそれは、前の二回より深いため息だった。
「お前な〜…」
「い、いや! 違っ…違うの! そ、そうじゃなくて……えぇっと…!」
その深いため息に、なのはは狼狽する。伝えるつもりじゃなかった心の内を知られ、身振り手振りで先程の言葉を否定しようとする。しかしもう時すでに遅し、今更否定しようにも逆効果にしかならない。しかもちゃんと否定的な言葉を言えていないことで、それに拍車をかけてしまう。
そんななのはを見て、士は手を上げた。またデコピンでもされるのか、そう思ったなのはは思わず強張ってしまう。両目を閉じて唇を噛み、次に来るであろう衝撃に備えた。
しかし、なのはにやってきたのは衝撃ではなく、頭のてっぺんから感じる人の温度だった。
「―――え…?」
「さっきも言ったが、お前不器用過ぎ。そう言う事は、自分の胸の内で隠しきるか、最初っから言っとくかにしろよな」
ま、気づけなかった俺も大概だけど、と言って優しくなのはの頭を撫でた。
その行動に、両目を見開いて驚くなのは。叩かれると思っていた彼女にとって、この行動は予想外だった。
しかし、悪い気はしない。それは昔何度か同じように撫でられた事があったからだろうか。そう言えば、彼に撫でられるのは何年ぶりだろうかと、なのはは思った。
「しかしそうか、頼って欲しいか…これでも、かなり信頼してるつもりなんだけどな〜…」
士はそう言うと、なのはを撫でていた手を今度は自分の顎に持っていき、考える素振りを見せる。
彼の手が頭から離れ、温かさが消えたことに寂しさを覚えつつも、なのははそうじゃないと否定しようと口を開こうとする。が、その思いは言葉にならず、口を紡ぐことになった。何故なら、それは彼女の本音であることに変わりがないからだ。
だから、なのははその言葉を飲み込み、別の言葉をかけた。
「…今日みたいに、失敗したのに?」
「お前な、人間が皆聖人君子じゃねぇんだから、全て正しい事ができるとは思ってねぇよ。『猿も木から落ちる』って言うだろ?」
「私は猿なんだ…」
「人間様だって元を辿れば猿だぞ?」
だがまぁ、頼って欲しいなら…。そう言うと、士は急になのはにもたれかかってきた。
急な事に流石のなのはもぎょっとする。今の話の流れで何を、と思ったが、士の表情が暗い事に気づいた。
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