暁 〜小説投稿サイト〜
ブラック・ブレットー白き少女
「世界を変えたいと思わないか」
[1/3]

[8]前話 [1] 最後
 アリスは外周区のマンホールチルドレンになった『呪われた子供達』に食べ物をあげた帰り道、それは現れた。

「こんばんわ、アリス」

「…………えーっと、誰?」

 アリスは普通にこの仮面の男のことを知らなかった。

「ああ、これは失礼」

 男は被っていたシルクハットを外し、頭を下げると、

「私は蛭子、蛭子影胤という。お初にお目にかかるね、アリス、それとも『白狐
びゃっこ
』と呼んだほうがいいかな?」

「…………裏の人間か」

 『白狐』というのは、アリスが後ろめたい内容の、つまりは裏社会などからの依頼を受ける時に使っている偽名だ。

 それを知っている事から、アリスはこの男の事をカタギの人間ではないと判断した。

「まあ、そういうことになるね」

「…………なんかようか?」

「ほう、警戒すらしないのかい? もしかしたら君を殺しに来た暗殺者なのかもしれないよ?」

 影胤は意外そうに、だがどこか試す様に聞く。

「別に、そうなら話し掛けたりせずに奇襲するでしょ。それに、襲われても絶対に勝てる自信があるしね。油断も手加減もしないが」

 すると影胤は、心底意外そうな顔をしたーーと思うーー後、声を上げて笑った。

「ヒヒ、ヒハハハハハ! いい! 実に面白い!」

 対するアリスはどうでもよさそうな態度のまま、言った。

「で? 用件は何? 私、あんまり暇でもないんだけど」

「ああ、そうだったね。じゃあ、本題に入ることにするよ」

 アリスは少し真面目な態度になった。

「アリスくん、私の仲間にならないか?」

「…………お前って確か、蓮太郎と前に接触した殺人鬼だよな」

「まあ、そういうことになってるね」

「そんな奴の仲間になって私に何の得があるってゆうの?」

 すると影胤は、何処からともなくアタッシュケースを取り出すとアリスの方に投げ渡してきた。

 少し警戒しながら中身を見てみると、百万や二百万じゃきかないほどの大量の札束が入っていた。

「君は外周区に住んでいる『呪われた子供達』に食べ物やおもちゃなどを金を湯水の様に使って、与えてるそうじゃないか。それは私からのほんの気持ちだ」

「…………いくら金をつまれても、時間をかければ私ならこのくらい稼げる。ゆえに、これはほとんど得にはならない」

 アリスがそう言うと、影胤はそれを予想していたかのように語り始めた。

「アリスくん、君はこの理不尽な世界を変えたいと思ったことはないか?」

「何?」

 影胤は気にせず語り続ける。

「君は外周区のマンホールチルドレン…………つまりは『呪われた子供達』が虐げられている所を何度も見たことがあるはずだ」

 アリスは何も
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ