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至誠一貫
第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十六 〜冀州にて〜
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でする奴ならば、顔を見てみたいものだがな。
 無論、無事どころか、ほぼ確実に命を落とす羽目になるが。

「あ〜、さっぱりしたわ」
 上機嫌の霞と共に、軍に追いついた。
「おー、無事に着いたのですな」
「ねね、ウチがそないな下手打つ訳ないやろ? な、歳っち?」
 体力を消耗しているであろうに、霞は快活に笑う。
「霞。連れて行った兵は問題なしか?」
「……まぁ、全員ちゅう訳にはいかへんかったな。一部の連中は、ぶつくさ文句言いおったわ」
「ふむ。境遇への不満という事か?」
「それもある。洛陽の、ぱっと見華やかなところにおったせいもあるんやろな」
 それはそうであろう。
 謂わば、都落ちという奴である。
 ……尤も、陳留やギョウを見れば、洛陽が如何に斜陽の街か、それを痛感する事になるのだが。
「涼州に連れてく連中は、どのみち全員鍛え直しや。それでもガタガタ抜かす阿呆は、軍には必要ない」
「そうだな。……我が軍とて、他人事ではない」
「せやろうな。ウチかて、星や稟から教えて貰わへんかったら、ただの僻地っちゅう印象しかあらへんかったぐらいや」
 月が引き連れていたのは、元々が正規の兵士ばかり。
 それに引き替え、我が軍は大半が元は黄巾党や庶人の出。
 ……果たして、どの程度の脱落者が出るであろうか。
 出自を考えると、あまり離脱はさせられぬのだが。
 そんな事を思っていると、恋が不意に馬を返す。
「どないしたんや?」
「……セキト達、ごはんの時間」
「おお、然様でしたな。ねねもお手伝いしますぞ!」
 麗羽に頼んで用意した、荷駄用の車に乗せている、恋の家族達。
 仮の住居や世話については、斗誌の方で手配してくれる事となった。
 だが、ギョウに着くまでは、世話を他人に譲るつもりはないようだ。
「相変わらずやな、恋も」
「そうだな。恋、麗羽に挨拶をしておけ。一応、話は通してあるが」
「ああ、わかっとる。……ウチ、歳っちと一緒におってええんやな?」
「無論だ。だが、気取られぬようにせよ。何処に監視の目があるか知れぬからな」
 霞は、しっかりと頷いた。


 翌朝。
 疲労困憊、と思っていたが……霞は思いの外、元気であった。
「歳っち、おっはよー♪」
「……うむ。おはよう」
「なんや。朝から辛気くさいなぁ。もっと元気出さなあかんやろ?」
 全く、誰のせいだと思っているのか。
 まだぼんやりと、靄がかかっているような気分だ。
 そんな私を尻目に、霞は手早く着替えを済ませた。
「あ、歳っち」
「何だ?」
 顔を上げると、霞の顔が目の前にあった。
 そして、唇を柔らかい物が塞いだ。
「好きやで、歳っち」
「ふっ、臆面もなく申す事だ」
「ええやんか、好きなもんはしゃあないやん」
 屈託の
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