本編
第十九話 パッフェルベルのカノン
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は腐っても戦艦である。
すなわち向こうのほうが射程が長い。
「敵艦隊攻撃を始めました!しかし、有効射程ギリギリなので命中確率は極めて低いです!」
「駆逐艦マーチェスに敵弾直撃!しかし、戦闘に支障はなしとのこと!」
「こちらの有効射程までおよそ3千!」
敵はこちらが艦載機を発進させたことに気が付いていないようだ。たとえ気が付いていたとしても高速戦艦には艦載機は積まれていないので防ぎようはないが・・・
「艦載機部隊、敵艦隊に攻撃を始めました!」
「敵が混乱しています!」
チャンスだ!
「有効射程に入り次第各個に砲撃を開始せよ!速度は落とすなよ!」
「艦載機部隊より入電!”我、敵戦艦ニ隻ノ機関部ヲ破壊セリ ナオ、ソノウチノ一隻ハ今完全ニ沈黙セリ”です!」
その報告に艦橋中が歓喜の声に包まれた。あの高速戦艦を2隻も行動不能・沈黙させたのだ、無理もないだろう。
「敵艦隊、有効射程内に入りました!」
「よし!全艦砲撃開始!」
私のその号令によって敵に向かって多数の砲弾が発射された。有効射程ギリギリだったのでほとんどが外れたが、2発が敵艦に命中した。
しかし敵も黙ってやられるわけではなく、すぐにお返しとばかりに数倍の砲弾が撃ち込まれた。
「駆逐艦ケウメルンに直撃弾2!うち1発が機関部に着弾し、現在炎上中!」
「駆逐艦ウールテンに直撃弾4!戦闘続行不可能!」
「ウールテンに退艦命令!ケウメルンは後方に下がらせろ!」
ここで下がっても大して変わらないだろうが・・・
「駆逐艦ヴァーグルフに直撃弾多数!撃沈した模様!」
「っ!!・・・」
既にこちらは駆逐艦3隻が戦闘不能。対して敵は未だ12隻が健在だ。
ここまでか・・・
「駆逐艦トールトス撃沈!脱出者はなし!」
「駆逐艦ウールテンの退艦完了!」
「駆逐艦ケウメルン戦線に復帰!」
「軽空母ノジャールより入電!”我、既ニ艦載機ノ大半ヲ損失。戦闘能力ハ皆無ナリ”です!」
「ノジャールノは総員退艦、その後は自動操縦で縦として利用しろ!」
「敵艦隊後方から30隻ほどの艦艇、急速に接近してきます!」
敵の増援か・・・
もはや・・・ここまでだな・・・
「駆逐艦ケウメルン撃沈!残りはわが艦のみです!」
「直撃!きます!!」
っぐ!!・・・・
「っく!・・・・」
どうやら奇跡的に生きているらしい。
まぁ既に腹からは血が大量に出ているから長くはもたないだろうがっ・・・!
口から血を吐いた、限界も近いかな・・・
デスクから写真を取り出した。
「・・エリア・・メリーを・・・立派な女性に育ててくれ・・・」
「・・メリー・・・メリーのピアノを聞くと約束したが・・・守れそうも・・ない・・・そんな俺を許して・・・くれ・
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