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SAO−銀ノ月−
第編集後記話+α
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に残されたのは、何かがこの仮想世界から消滅した際に生じる、ポリゴン片だけだった。スメラギは、そのリメインライトすら消え去ったらしいポリゴン片を確認すると、OSSを解除して巨大な左腕とカタナは消え去っていく。

「……いい決闘だった」

 リメインライトもなくなり聞こえている筈もないが、ここまでの戦いを繰り広げた剣士に敬意を払い、カタナを仕舞って黙祷のように目をつむる。



「……ああ、俺もそう思う」


 ――その声が耳元で聞こえてきた瞬間、スメラギはデュエルの決着画面が表示されていないことに気づく。目を見開いて背後を向くものの、スメラギが最期に見た光景は――

「お前も誰かの為に負けられない、って言うなら……俺だってそうだ」

 ――銀色の月のようなカタナだった。


 ……武道には《虚と実》という言葉がある。相手が気を張り巡らせている『実』ではなく、隙となった『虚』を狙え、という意味だが、スメラギにその『虚』のタイミングはなかった。唯一の、そして最大のそのタイミングは、ショウキが仕掛けた罠により、ショウキを倒したのだと誤認した時。

 あの時ショウキは《テュールの隻腕》に適わないと悟ると、その高威力と衝撃波で相手が見えない、という状況を利用しようと考えた。カマイタチの効果時間が切れた瞬間に、日本刀《銀ノ月》と着ていたコートを脱ぎ捨て、展開していた翼を仕舞い込んだ。

 その結果、翼を失ったショウキは地上に急降下していき、スメラギの《テュールの隻腕》は残った日本刀《銀ノ月》と脱ぎ捨てたコートを薙いだ。残ったポリゴン片はコートのものであり、あるはずのリメインライトも《テュールの隻腕》の威力から、跡形もなく消し飛んだとしても違和感はない。

 そして弾き飛ばされていった日本刀《銀ノ月》を地上で回収し、あとは最高速でスメラギに接近、そのまま背後から『初撃決着』を果たしたのだ。人間ならば誰しも『虚』のタイミングは存在するものだが……スメラギのソレは、最期の最期までその姿を見せなかった。

「ふぅ……」

 ウンディーネ特有の青いリメインライトを前に、ショウキの視界の横にデュエル決着画面が表示された。血を払うように日本刀《銀ノ月》を一度振るった後、ゆっくりと鞘へと戻していく。

「ナイスな展開だった……って言いたいところだが、まだやることが残ってるんでな」

 《クラウド・ブレイン》――それを止めるため、ショウキは再び翼をはためかせた。


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