暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第編集後記話+α
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たものは、蹴られて不安定な体勢のまま、カマイタチに対応しようとするスメラギではなく。

「ならば俺も全力を出そう……!」

 万全の体勢でカマイタチを待ち構える、巨大な左腕で身の丈程もあるカタナを持った、この世界での最強のプレイヤーの姿だった。

 ……スメラギが放った氷の矢は、ショウキを攻撃するためのものではなく、氷で自らの足場を作り出した時のついでのようなものだった。魔法で作り出した氷の足場で体勢を立て直したスメラギは、ショウキの切り札たる『抜刀術《十六夜・鎌鼬》』を視認し、彼もまた切り札でもって相対すると決めた。

 ショウキもその存在は聞いたことがある。ユージーン将軍とのデュエルの際、彼の8連撃OSS《ヴォルカニック・ブレイザー》を全て受け止め、返す一太刀で彼をリメインライトと化した、スメラギのOSSのことを。己とは別の巨大な左腕と刀を憑依、具現化し、巨人の如く妖精の抵抗ごと踏み潰す。その名は、確か――

 ――テュールの隻腕。

「うぉぉぉぉ!」

 こうなればあとは正面からぶつかるのみ。抜刀術《十六夜・鎌鼬》とともに、ショウキは気合いを込めた叫びをあげて《テュールの隻腕》へ突貫する。そしてスメラギが操る、具現化した巨人の刀とカマイタチと日本刀《銀ノ月》がぶつかり合う。

 この衝突はもはや鍔迫り合いが発生する、などといった次元ではない。毒によって減少した残り少ないHPゲージを、その衝突によって発生した衝撃波が削っていく。

「《クラウド・ブレイン》の実現のために……《シャムロック》のために……セブンのために! 邪魔はさせん!」

 スメラギがさらに全力を込めると、全てを切り裂くカマイタチに逆にヒビが入っていく。抜刀術《十六夜・鎌鼬》はあくまで魔法のため、発生した後は何も出来ないが、スメラギのOSSは違う。その巨大化した巨人の左腕に全力を込めれば込めるほど、威力は際限なく上昇する。

「くそっ……!」

 自身のギルド《シャムロック》のために。その悲願である《クラウド・ブレイン》のために。……そして敬愛するギルドリーダー、セブンのために。そう叫ぶスメラギの気迫と威力に、ソードスキルを使用出来ないショウキは徐々に圧されていく。

 風の刃と巨人の刃――もはや生じた衝撃波によって、お互いがお互いの姿も見えないものの、それでも勝利をもぎ取らんと全力を込める。……そしていつしか、魔法である抜刀術《十六夜・鎌鼬》は消失し、ショウキ側の威力が多大に弱まってしまう。

「――――ッ!」

「……消えろ!」

 当然その威力の減衰を見逃すスメラギではない。自身の左腕と化した《テュールの隻腕》を振り切ると、最後に一際大きい金属音が鳴ると、日本刀《銀ノ月》がどこかへ弾き飛ばされていった。

 ――そこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ