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剣の丘に花は咲く 
第十五章 忘却の夢迷宮
第一話 定まらぬ未来
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せん。国を裏切る行為と言うのは、そう簡単なものではないのですから……」
「そうかしら?」

 キュルケの言葉を否定するように左右に頭を振るセイバーを、キュルケは余り信じていない半眼でじっと見つめていたが、ふと視線を外して先程から黙ったままの友人たちに声を掛けた。

「で、ところであなた達は何してるのよ? そんな所でじっとして。さっきからシロウ大分大変……酷い事になってるみたいだけど。助けに行かなくていいの?」

 キュルケは後ろで膝を抱え顔を俯かせたルイズと同じような格好で本を読んでいるタバサに顔を向けた。
 抱えた膝と胸で挟み込むように伏せていた顔を気だるげに起こしたルイズは、見下ろしてくるキュルケを力のない目で見上げ。その隣に位置するタバサは顔を動かすことなくチラリと視線だけをキュルケに向けた。

「そういうあなたはどうなのよ。助けにいかないの?」
「ん〜そうしたいのもやまやまなんだけど、ね」

 顎に細い指先を当て「ん〜」と間延びした声を上げながら遠くで士郎を折檻する凛と自分を見上げてくるルイズを見比べる。キュルケの視線が迷うように士郎とルイズの間で揺れていると、本を胸元に抱き寄せたタバサが立ち上がった。

「助けに行くの?」
「…………」

 キュルケの問いに応えることなく、タバサは自分に視線を向けるセイバーたちから逃げるように歩き出した。宿舎へと向かって歩いていくタバサの背中を、離れた位置で控えていたロマリア軍の兵士が追いかけていく。その姿にセイバーの目がスッと警戒するように細まった。
 アクイレイアからここまで、水精霊騎士隊を中心としたトリステインの者達の周囲には常にロマリア軍の兵士が傍に控えていた。護衛の名目で傍にいる彼らは別段何かしてくる訳ではなく、ただ今タバサについていったように、常に誰か一人は傍にいるのである。キュルケやギーシュたちはそこまでではないが、士郎、ルイズ、タバサ、そしてセイバーに対しては、特に厳重に“護衛”が行なわれていた。
 
「まるで捕虜になった気分ね」
「確かに―――とうてい良い気分にはなれません」

 セイバーが鋭い目つきで残ったロマリア軍の兵士に視線を向ける。斬りつけるような鋭く強い死線に、見張るかのように周囲に立っていた“護衛”のロマリア軍の兵士たちが怯えるように後ずさった。

「あの人たちも仕事なんだからそう威嚇しなくてもいいじゃない」
「別に威嚇などしてはいません」

 キュルケに向かって若干むくれた顔をしたセイバーは、直ぐに我に返って恥ずかしげに頬を染めるとキュルケたちに背中を向けた。

「アルト?」
「少し、タバサと話しをしてきます」
「……お願いするわ」

 キュルケに背中を向けたまま頷くセイバー。小さく了解の意を示したセイバーに口元に
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