第十五章 忘却の夢迷宮
第一話 定まらぬ未来
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った将兵が多かった事も挙げられるが。その最大の理由は、百を超える両用艦隊の二割近くを落とした白銀の竜の存在であった。
目にも止まらない速度で空を翔け。
一条の光となって巨大な艦隊を貫き破壊する竜。
両用艦隊の者たちが“聖竜”と呼び恐る存在であった。
ロマリアへと攻め込む自分たちの前に現れた白銀に輝く竜を、彼らは神罰を下す“聖竜”であると恐れたのだ。
予想に反して全乗組員の賛成を受けたクラヴィル卿は、改めて本物の“反乱艦隊”となり。両用艦隊の決起の情報は、直ぐさまガリア王国全土に広がった。この情報に大きく反応したのは王都から遠く離れた諸侯郡であった。
ジョゼフが王となってからこれまでの間に、領地の没収や多額の罰金等に対する不満や不信がここで一気に爆発した。教皇が発した“聖戦”の宣言とガリアの最大戦力の一つである両用艦隊の反乱は、彼らの背中を押すのに余りある理由であった。
また、サン・マロンで起きた反乱に一番最初に応じた領主であるフォンサルダーニャ侯爵の存在も一役かっていた。
フォンサルダーニャ侯爵は、前年に領地の一部を王政府に没収されたことを恨んでいたため、サン・マロンで起きた反乱にこれ幸いと一番最初に決起すると、直ぐさまロマリアへと協力する旨の伝令を飛ばしたのである。長年ロマリアとの国境を守ってきた名門フォンサルダーニャ侯爵家の反乱の参加は、それまで様子見をしていた他の諸侯の多くを味方とする切っ掛けとなった。
結果、ガリア南西部の諸侯たちを次々に味方に引き入れながらロマリア軍は、ほぼ無血でカルカソンヌまで進軍する事に成功した。
しかし、順調な進軍もカルカソンヌまでであった。
カルカソンヌの北方に流れるリネン川を挟んだ向かいに、“聖戦”が発動されても王政府に味方するガリア王軍が立ち塞がったからである。その数およそ九万。対するロマリア軍は味方となったガリアの諸侯の軍も入れても六万しかいなかった。“聖戦”が発動されたことや反乱が起きたこと等から、士気の面で言えばロマリア軍に軍配は上がるが、三万という数は士気の差で埋められるような数ではなく。また、ロマリア軍の味方とはいえ反乱軍がそう簡単に同国民と戦える訳もなかった。しかし、敵であるガリア王国も同じく数で勝るとは言え対するのは聖戦を発動した相手である。聖戦を発動した相手がどれだけ厄介な存在なのかは嫌になるほど知っており、戦意は底辺にまで落ちていた。
どちらも戦端を開く切っ掛けを持っておらず、ロマリア軍がカルカソンヌにたどり着いてから今まで、戦闘らしい戦闘が起きることなくリネン川を挟み未だに睨み合いが続いていた。
「それは違いますキュルケ。確かに私の行動が幾ばくかの影響は与えたのは事実だと思いますが、私一人の戦果で彼らが反乱を決めた訳はありえま
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