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剣の丘に花は咲く 
第十五章 忘却の夢迷宮
第一話 定まらぬ未来
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「ありゃ相当馴れてるぜ」
「そうだな」
「まさに流れるような手際だった」
「あの隊長が手も足も出なかった」
「ちげ〜よ。ぼくが言いたいのは隊長の事だよ」
「「「は?」」」

 フォークの先に残ったソーセージを口の中に入れたマリコルヌが、ポカンと口を開けたギーシュたちをソーセージを咀嚼しながら鼻で笑った。

「ふんっ。ぼくだから分かる。隊長―――奴はあの攻撃を全て微妙に外して受けている」
「「「な―――なんだってぇ〜〜〜ッ!!?」」」

 驚愕の声を上げるギーシュたちを無視し、ギラリっ、と目を光らせたマリコルヌは、じーと士郎の後頭部を踏みつけながら説教を続ける凛を見つめる。

「そしてあの彼女もその事に気付いている。つまり、あれは茶番だよ。互いが納得づくにやっている以上どうあれ本気の喧嘩じゃない。ただ戯れあってるだけだよ」
「い、いやただ戯れあってるって言われても……流石にあれはないでしょ」

 士郎から八極拳を指導されている身だからこそ分かる遠坂凛の実力。
 遠坂凛が、自分たちなど文字通り足元にも及ばない実力を持つ女拳士であることを、ギーシュたちは既に悟っていた。そしてどう見ても手加減している様子は見られない。士郎が凛の攻撃を受け吹き飛ぶ姿などマリコルヌから言われても演技には見えない。

「あれが茶番とはどうしても思えないんだけど」

 レイナールは先程からピクリとも動かない士郎を冷や汗を流しながら見つめている。

「へ、お子ちゃまだな君は。いいか、あれはな、どちらも互いの癖やら何やら知り尽くしているからこそ出来る芸当なんだよ。多分どっちも意識はしてないだろうな。それだけ長い付き合いで信頼し合ってるんだろうよ」

 ケっ、と羨ましげに吐き捨てるマリコルヌを、ギーシュたちは引きつった笑みで見つめていた。

「は、はは……。しかし例えそうだったとしても、流石にあれは同情してしまうよ。そういえばルイズたちはどうしたんだろうね。彼女たちなら直ぐに飛び出してくるかと思っていたんだが……」

 未だに折檻が続いている士郎たちから視線を外し、周囲を見渡したギーシュが不思議そうに声を上げる。

「それはあれじゃない? また副隊長に止められてるんじゃないかな?」
「そうだな。昨日も副隊長に止められてたしな」
「『いつもの事ですので心配せずとも大丈夫です』か……あれ(・・)が何時も通りねぇ……」
「マリコルヌ大先生の言葉が正しければ、な」
「―――あ、何か話してるぞ」
 
 後頭部を踏みにじられていた士郎が這って逃げ出し、追撃しようと迫る凛を何やら説得をし始めた様子を見て、ギーシュたちの視線が一際強くなる。

「そういえば今回(・・)の原因は結局何だっけ?」
「確かミス・トオサカにシエス
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