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画龍
3部分:第三章

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第三章

「では案ずることはない」
「例え何が起ころうとも」
「そうじゃ。では張よ」
 ここまで話してだ。また張に告げるのだった。
「朕のものと龍達に目を」
「畏まりました」 
 皇帝にここまで言われてはだ。彼にしても断ることはできなかった。そうしてだ。
 実際に皇帝の肖像画と五匹の龍達にだ。点を入れた。するとだった。
 まずは肖像画からだ。異変が起こった。
 目が入りその絵の具が乾くとだ。その絵がだ。
 静かにだ。絵から出て来た。それは皇帝そのものだった。
 絵から出て来たその皇帝はだ。威厳を以てこう言うのだった。
「うむ、これで命が手に入った」
「馬鹿な、朕が二人おるぞ」
「これは一体」
「命が手に入ったからじゃ」
 こうだ。驚く皇帝と司馬光にこう言うのだった。絵の皇帝は。
「こうして外に出てこられたのじゃ」
「では御主はやはり」
「左様、御主じゃ」
 皇帝への言葉だ。
「絵ではあるがな」
「ううむ、そうなのか」
 皇帝は絵の自分の言葉にだ。唸る様にして述べた、二人並んでいるその姿はまさに絵画だった。そしてそれだけでなくだ。
 龍の絵、五匹の彼等もだった。絵から出たのだ。
 そしてそのうえでだ。天高く昇りだした。それを見てだ。司馬光が言った。
「龍だからですな」
「龍故にか」
「龍は天に昇るものです」
 まさにそうだとだ。彼は皇帝に話す。
「だからこうしてです」
「ううむ、絵であってもか」
「絵であっても龍は龍です」
 司馬光は話す。龍は宮廷の天井を突き破りだ。そのうえで飛んだのである。
 そしてそれを見てだ。皇帝は呆然としていた。その皇帝に司馬光は言うのだった。
「ですから」
「龍が心を得たのか」
「その通りです。張はだからこそです」
「絵に目を入れなかったか」
 司馬光の言葉を受けてだ。そのうえでだ。
 皇帝はその司馬光を見た。彼は冷静なままそこにいた。
 その彼にだ。皇帝は言うのだった。
「だから目を入れなかったのだな」
「左様です」
 その通りだとだ。張は畏まって述べる。

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