第十五話 蠢動
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出征するのじゃな?」
お、いつの間にか俺の番か。
「何事も無ければ来月の五日には……」
「そうか、武勲を期待しておるぞ」
「はっ」
これで終わりかな、そう思った時だった。
「そうそう、アンネローゼがそちに礼を言いたいそうじゃ」
「……と言いますと」
「ラインハルトがそちに世話になっておるそうじゃの」
「いえ、そんな事は」
そんなことは無い、こっちにも思惑が有っての事だ。と思ったが伯爵夫人がヒタっと視線を俺に向けてきた。いや、そんな目で見られると困るんです、ドギマギするんですけど……。
「公、いつも弟の事を御配慮頂き有難うございます。これからもよろしくお願いします」
伯爵夫人が頭を下げた。軽くじゃない、かなり深くだ。おかげで胸の谷間が……。いや、そんな事はどうでもいい。皇帝の寵姫が頭を下げるとかちょっと勘弁して欲しいよ。 周りの視線がさらに痛い……。おまけにエリザベートがこっちを睨んでる。俺にやましい事は無いぞ、エリザベート。そんな目で俺を見るな。
「いえ、ミューゼル提督にはこちらこそ助けてもらわねばなりません。宜しくと頼むのはこちらの方です」
賢い人だわ。皇帝の前で俺から言質をとったか……。ラインハルトをブラウンシュバイク、リッテンハイム連合に結び付けようって事だな。他の貴族に比べればラインハルトの基盤は弱い、それを案じての事だろうが……、やるもんだ、女には惜しいな。
今日の舞踏会の話題はこれだな。まあラインハルトとの友好はこちらも望むところではある、問題は無い……。有るとすれば、エリザベート、俺を睨むな、公爵令嬢の品位に欠ける振る舞いだぞ。後でアップルパイを作ってやるからな、それとも頭を撫でた方が良いか。……クリスマスのプレゼントはちょっと奮発した方が良さそうだな……。今度は頭が痛くなってきた……。
帝国暦486年12月15日 イゼルローン要塞 エルネスト・メックリンガー
オーディンを十一月五日に出立しイゼルローン要塞に十二月十五日に到着。その間約四十日、まずまずの航海と言える。このイゼルローン要塞で補給及び修理、反乱軍の情報収集を行った後、彼らの勢力圏に対して出撃となる。将兵に対しての休息も含むからイゼルローン要塞に居るのは五日間と決めている。出撃は二十日だ。
ブラウンシュバイク公と司令部要員、そして分艦隊司令官が要塞に降りると二人の士官が出迎えに来ていた。それぞれに名乗ったがどうやら要塞司令部、艦隊司令部から迎えに行けと命じられたらしい。相変わらず張り合っているようだ。
二人の士官に案内されながら歩く。先頭をブラウンシュバイク公とフィッツシモンズ少佐、その後に私とシュトライト准将、そして分艦隊司令官が続く。暫く歩くとブラウンシュバイク公が話し始めた。
「イゼ
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