暁 〜小説投稿サイト〜
竜のもうひとつの瞳
第二十一話
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 何か、いつもと反応が違う。いつもなら、小十郎は子供ではありません、とか言って怒るのに。

 「……姉上は、母上の事を覚えていますか?」

 唐突に切り出された話題に、私は少しどう答えたものかと考えてしまった。
私は生まれた時から前の人生で培った人格って奴を持っていたから始めからはっきりしてたけど、小十郎はそうじゃない。
覚えてる、って言うと気味悪がられるかな、なんて思ったけど小十郎相手にそれは不要だと思って正直に答えた。

 「うん。小十郎がぐずって眠れないといっつも子守唄歌ってくれてたよね」

 母上が生きてた頃は夜泣きが酷くてね〜……煩くて夜眠れなかった事眠れなかった事。
子育てって大変だなって本当に思ったよ。あの頃は母上も姉も随分と隈が濃かった覚えがあるし。
で、小十郎が夜泣きすると母親違いの兄が怒ってね〜。双子など捨ててしまえ、ってよく癇癪起こしてたもんだ。

 「最近……母上が子守唄を歌ってくれていたことを思い出しました。大姉上に良く似た、優しそうな人でした……」

 言われてみれば、姉に似ていたような気がする。よく似ていたかどうかは別としても……いや、左月斎様の方に似てるような。
寧ろ母上に似ているのは小十郎の方だと思うんだわ。小十郎を女にしたらあんな感じじゃないかなって思うようなね。
それに優しかったかと言うと……まぁ、阿修羅のような姉の母になるような人だから……語らなくても察してもらえるとは思うけども。

 というか、よくそんな昔の話覚えてるもんだわ。
私は最初から物心付いてたけど、小十郎は物心付く前の話でしょ? 覚えていないことの方が普通だってのに。

 「……今まで記憶にないことが悲しかったのですが……」

 そっか……小十郎は“お母さん”を知らないんだもんね。
一時養子に出されて義理の母親は出来たけど、全然関係は良くなかったらしいし。
ずっとお母さんがいないって寂しい思いが残ってたのか。その気持ちは……よく分かる。
私も、“お母さん”ってものにはいいイメージがないから余計にね。
でも、小十郎には……あんまり“お母さん”のこと、思い出して欲しくないんだよね。
……ちょっといろいろと事情があるから。

 私は母上がよく歌ってくれていた子守唄を歌う。少し驚いたような小十郎は、すぐに苦笑してゆっくりと目を閉じた。

 小十郎が寝付いたのを見て、私は一つ溜息を吐く。

 小十郎がよく歌ってもらっていた子守唄。
……これ、結構際どい男女の恋仲を謳った歌ではっきり言うと子守唄ではないんだよねぇ……。

 ったく、子供になんて歌聞かせて寝かせてるのかしら。残ってる記憶がそれって、良いのか母上。

 「……出来ればそこは、私が歌っていた子守唄に記憶を摩り替えて欲し
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