第二十話
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い付いてきた小十郎に店の人が説明しているけど……それは営業妨害もいいところだ。
茶屋の前で口押さえて蹲ってりゃ、余程変な物を食べさせられたみたいな印象を持たせてしまう。
「慶次、近くに休める場所ない? ……いかがわしい店以外で」
「あるっちゃあるけど……ちょっと距離があるな」
そっか距離があるのか……二人がかりでなら小十郎を運べるかしら。
この子、背丈があるから細く見えるけど、意外と重いんだよね。流石に町中で婆娑羅の力使うわけにもいかないし。
「うちの二階で良けりゃ使っておくれよ。気分が良くなるまで休んでいていいからさ」
それは有難い。この子運んでいく手間が省けて助かった。
女将さんにお礼を言って、二人で小十郎を支えてどうにか二階へと運び込んだ。
引っくり返って休んでいる小十郎は本当に調子が悪そうで、青い顔のままぐったりとしている。
奥州を出る前と比べれば随分と痩せているようで、今まで相当無理をしていたことが知れる。
考えてみればそうだよね。私の空いた分の負担が全部小十郎に来るんだもの、体調だって崩すのは無理もない話だわ。
「小夜さん、聞いてもいいかい? その人は?」
「……奥州に残してきた弟。何でここにいるのか分からないけどね」
本当にどうして加賀にいるんだろう。奥州で政宗様の側にいるとばかり思っていたのに。
まさか、政宗様に愛想を尽かして出奔してきたとか? いやいや、小十郎に限ってそれはないだろう。
何が無くとも政宗様さえいればいいような人間だし。
もしかして、連れ戻しに来たのかしら。政宗様に命令されて。
……うーむ、無いとは言えない。政宗様ならあり得るし、その命令を聞いちゃうってのも納得出来る。
だって、馬鹿が付くほど主のことが大好きなわけだし。
今のうちに逃げるか? なんて考えていたところで、小十郎がゆっくりと目を開いた。そして私を見て、小さく息を吐く。
「……珍しいですね、姉上がそのような格好をされているのは」
「お世話になっているところの奥さんが結構厳しくってね。
外に出るなら女の格好を、って着させられたのよ……それよりも、どうして加賀に」
小十郎はゆっくりと身体を起こして、私に向き直る。気分が悪そうに一度息を吐いた後、迎えに来たのだと告げた。
やはり、政宗様の差し金か? だけど、今の小十郎の状態なら振り切って逃げることは出来るはず。
「政宗様も冷静になられ、二度とあのような愚行はしないと約束して下さいました。どうか、お戻り下さい」
「……口先だけじゃないの? 戻ったらまた手篭めにされそうにとか」
「独眼竜と奥州筆頭の名にかけてやらないと仰っておりました。
ちなみ
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