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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十二話 世界最強の少女
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た。元々、他と違って装備としても本当の意味で彼以外には使えないデバイスだし、何より今は、アルが居ること自体が当たり前過ぎて、他のデバイスを近くに置くなど想像もつかない。
「……何時か……」
「?」
不意に小さく、ジークリンデが口を開く。何処か期待を込めたような声で、彼女は言った。
「……何時か公式戦で、君等と試合出来たらええなぁ」
「…………」
ふと口から出たようなその言葉を実現するのは、そう簡単ではないだろう。クラナは男子、ジークリンデは女子だ。少なくともその性別の壁がある以上、IMで其れが実現する事は無いと思う。
だが、ジークリンデの実力は男子と闘っても一切そん色ないレベルの強さだし、男女混成の大会もDSAA主催大会の中には有る。決して不可能と言う訳でも無い筈だ。
だから、クラナはしっかりと頷いて言った。
「……はい、俺もそう思います。エレミアさん」
「……ジークや」
「え?」
不意に穏やかな声で言ったジークリンデは再び優しい微笑みを浮かべて、クラナを見ている。その笑顔に思わず鼓動が高鳴ったが、彼女には気が付かれなかったようだった。
「名前で呼んでくれへんかな?クラナくん。年上言うても一歳位やし、ウチが名前で呼ばせてもらってる手前、名字で呼ばれてるとくすぐったいんよ。それに……出来たら君には、名前で呼んで欲しい……」
「……え」
ごく当たり前のようにそんな事を言ったジークに、クラナは一瞬カチンと固まる。何故ならその言い回しだとどうにも含みがあるような……
と、ジークリンデ自身もその事に気が付いたらしく、その顔が下からまるでトマトのように真っ赤に染まって行く。そして……
「あ、ち、違うんよ!?これはその、単に名前で気軽に呼び合えるような友達になれたらええなー、って意味で、その、ホントにそんな変な意味やないから!!」
「え、えぇあはい!いえ、大丈夫です!分かってますはい!平気です!問題無いです!大丈夫です!!」
何故か同時に真っ赤になり、同時に俯いて同時に二人は何も言えなくなる。初恋同士のカップルか己らはと言いたくなるような光景だが、まぁ正直なところこの二人、どちらも他人と接触するのがあまり得意では無い人種である。ある意味ではこれも仕方ないと言えよう。
「……そ、それじゃあ……その……」
「あ……えと……」
クラナの方を伺うように、ジークが上目使いで彼を見る。その反則的な破壊力に矢で射ぬかれたように固まって朱くなったクラナは数秒の間迷うような様子を見せた後、すぐに何かを決意したように言った。
「じ……ジーク、さん?」
「……うん!」
まだ少し頬が紅潮してはいた物の、ジークは元気よく頷いた。
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