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極短編集
短編5「世界はチョコであふれてる!」

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「ねえねえパパ?あれってさあ、チョコレートみたいだね!?」

 息子が6歳の時の話だ。息子が指差したのは、土手を固めてるコンクリートだった。30センチ四方の固まりが続き、確かに板チョコそっくりだった!

「本当だ!こんな所にチョコレート!?」

 と、僕らは驚きながら散歩を続けた。川から離れて、遊歩道に入った。

「ねえパパ!ここにもチョコレートがあった」

 遊歩道の舗装には、これまた素材が四角くなって敷き詰められていた。確かにこれもチョコレート!

「ねえパパ。四角いものはチョコレートだね!」

「そうだね、四角いものはチョコレートみたいだ!」

 息子と遊歩道を少し行くと……

「あっ!ここにもチョコレート〜」

 赤茶けたビルが目の前にあった。大きめのレンガ調の外壁は、まさにチョコレートだった!

「ここにもチョコレートがあったかあ!?」

 息子がビックリしていると僕は指差し、息子に教えた。

「あっ!あの塀、チョコレート〜」

 なんと!これまた板チョコそっくりの、ブロック塀が現れた!

「なんか沢山、チョコレートがあったね!」

 と、僕が言うと息子はガサゴソ、リュックの中に手を突っ込んでいた。

「あった!板チョコ〜」

 僕らはチョコレートを食べながら、まだ見ぬチョコレートを探したのだった。




「「あっ、ここにもあった!」」

 世界はチョコレートに溢れている。

おしまい

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