第一部
第五章 〜再上洛〜
六十二 〜異変〜
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を騙り、宮中奥深くまで入った事は既に露見しておる!」
崔烈は、そう畳み掛けてきた。
「これは異な事を。偽、と仰せか」
「そうよ。偽でないと申すなら、証拠を出すが良い」
「……陛下自ら勅許を戴いたもの。決して詐称ではござらぬ」
「黙れ。言い訳は政庁で聞く。神妙にせよ!」
聞く耳持たぬ、という訳か。
だが、何故麗羽の宿舎に寄せてきた?
……わからぬが、言える事は問答無用で、私を罪に陥れようとする者がいるという事だ。
「私は助軍校尉。私に命ずる事が出来るのは陛下のみですぞ?」
「ふふん、その事か。もう貴様は助軍校尉などではない。……いや、そもそも八校尉自体、廃止と相成ったのだ」
崔烈も周囲の兵も、嘲笑う。
「そのような達しは受けておりませぬな。斗誌、どうか?」
「……私も初耳です」
「貴様が聞いているかどうかなど、この際どうでも良いわ。引っ立てい!」
「はっ!」
兵が縄を打とうとするが……それは適わぬ事。
「ぐはっ!」
「わわっ!」
二人の兵は、鈴々にはじき飛ばされていた。
「お兄ちゃんには、指一本触れさせないのだ!」
「ガキが。勅命に逆らうか?」
「そんなの知らないのだ! 鈴々は、お兄ちゃんを守るだけなのだ!」
「土方。大人しくせねば、そのガキだけではない。お前に関わる者全員に累が及ぶぞ?」
「……崔烈殿。では、その勅命たる証をお見せいただきたい」
証を要求する以上、持っているのが当然である。
「良かろう。……これが勅許よ」
懐から取り出された竹簡。
だが、崔烈はそれを開こうとはせぬ。
「確かに、勅許でござるか?」
「貴様、恐れ多くも陛下の詔を疑うとは! 構わん、取り押さえよ!」
門の外から、更に一団の兵が雪崩れ込んできた。
そして、その全員が弓を構える。
「崔烈さま! 無法が過ぎましょう!」
「下郎は下がっておれ! お前の主、袁紹にも累を及ぼしたいかっ!」
これは……如何に切り抜ければ良い?
握り締めた手が、じっとりと汗ばむ。
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