暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜白の剣士〜
無いもの/有るもの
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して俺がとったのは、悲しいながら、誉められた選択ではなかった。それが最善だと思っていた、たとえ『裏切り者』『偽善者』と罵られようが構わなかった。それで皆が救えるなら、それで良かった」

彼は優しい。優しい故に誰も傷つけたくない。しかし、それは出来ないことなのだ。人は生きているなかで知らず知らずに誰かを傷つけている。
彼が優しさでとった行動は必ず誰かを傷つける。

「でも、そうじゃないんだ。俺は心のどこかで皆を疑っていた、信じきれていなかったんだよ。本当の仲間っていうのは、傷つくことを怖れず、仲間の背中を信じて預ける。今回の戦いで改めてそう思った・・・」

「シオン・・・」

「ザザに言われたよ。『これが終わりではない、これからも負の連鎖は続くだろう』ってな。確かに今後いつラフコフの連中が仕掛けてくるかもしれない。奴らは強い、でも俺たちはアイツらには無いものを持っている」

その言葉にシュタイナーは思わず笑みを浮かべてしまった。

「それと、お前には謝らなくっちゃな。すまない、また《鬼神化》を・・・」

《鬼神化》───
それは彼がザザ相手に見せたあの強制的にリミッターを外した状態で、怒り、絶望、憎しみといった負の感情がトリガーとなる危険なスキル、完全に堕ちればその精神は崩壊、二度と元には戻れない。
その理性を失うほどの力にSAOでのバーデン戦以降シュタイナーとシオンの中で今後二度と使用しないことを約束していた。

「それならモニターで見たよ。別に謝らなくてもいい」

「しかし・・・」

「それに、今回は収穫もあった。以前までなら暴れるだけ暴れて、目の前の敵を殲滅するまで止まらなかった。でも、今回は自分の力で押さえつけた」

「あれは運が良かった、あそこでエリーの声が聞こえてなかったら完全に呑まれてた」

「それでも抑えられた」

「シオン!」

雪羅とシュタイナーが話している中出入り口の扉から詩乃が出てくると、シュタイナーはそれと入れ替わるように店の中に入っていった。

「あの、あなたには改めてお礼を言いたい。今回の件じゃなくて、五年前、あなたは私を救ってくれた。あの時から、私は強くなりたかった。あなたのような強い人に・・・」

「強い人、か・・・。俺は強くねーよ、今までの戦いで俺はまともに一人で勝ったことはない。なのに周りは俺が一人で倒したかのように祭り上げる、全く迷惑な話だよ」

「キリトたちから聞いた。あなたは仲間を傷つけないために、巻き込まないためにあえて突き放す。すべて一人で背負って生きていく。それでもあなたの周りに人が集まるのは、あなたには人を引き付ける何かがあるから。私もそうだった、私もあなたの背中を追いたかった」

「ッ・・・」

詩乃は雪羅と同じ目線になるとそ
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