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オズのベッツイ
第二幕その六
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「何かあるの?」
「あるわ、ギリキンは何でもかんでも黄色でしょ」
「その色だからなの」
「私の身体も黄色く見えるのよね」
「あっ、ガラスの身体だから」
「そうなのよ、黄色い私はどうかしら」
「奇麗よ」
 恵里香は素直にです、猫に答えました。
「とてもね」
「ならいいわ、そのそれぞれの国でね」
「貴女の色も変わるのね」
「それでギリキンだと黄色なのよ」
 そうだというのです。
「青、赤、紫、そして緑ね」
「じゃあ黄金の林檎を傍に置いたら」
 ここでこう言ったのはカルロスでした。
「その時は金色になるのかな」
「そうなるでしょうね」
 猫もその時の自分の姿を連想してそのうえで答えました。
「やっぱり」
「そうだよね、君は」
「金色の猫ね」
「中々奇麗だよね」
「そうね、ただ私は他の色にもなれるから」
「余計にいいんだね」
「私はどんな色にもなれるのよ」
 猫は胸を張って誇らしげにこのことを言いました。
「奇麗にね」
「何かそう言われるとね」
 ジョージが言うことはといいますと。
「羨ましいね」
「私のガラスの身体がなのね」
「とてもね、それにその頭と心臓も」
 ガラスの中のルビーの二つのそれもです、ジョージは見ています。そのうえで猫自身にお話するのでした。
「とても奇麗だし」
「だから自慢出来るのよ」
「そういうことだね」
「しかもガラスなのにね」
 神宝も言うのでした。
「壊れないところがいいね」
「普通のガラスはすぐに壊れるわよね」
「うん、ちょっと落としたらね」
「けれど私のガラスは特別なのよ」
「割れないガラスだね」
「死なないのよ、オズの国の住人だから」
 だからです、ガラスの身体であってもなのです。
「割れないのよ」
「そうだよね」
「そして何も食べる必要も飲む必要もないから」
 このことも言う猫でした。
「寝る必要もないし。何時でも好きなことが出来るのよ」
「食べることも楽しみだけれど」
「食べる必要がないのなら興味も出ないわよ」
 猫は草を食べながら言ってきたハンクにこう返しました。
「かかしさんや木樵さんと一緒よ」
「ジャックやチクタクも」
「そうよ、つぎはぎ娘もだけれどね」
「皆食べる必要がないから」
「そうしった楽しみも興味がないのよ」
「全く無関係で」
「何時でも好きなことが出来るのよ。私はとても幸せよ」
 猫はここでも誇らしげに言うのでした。
「本当にね」
「成程ね。僕は食べる時と寝る時が一番幸せだけれど」
「じゃあ楽しむことよ」
 その食べることを寝ることをというのです。
「是非ね」
「楽しいと思うことをだね」
「自分自身がね」
「成程ね、そうすればいいんだね」
「あんたはあんた、私は私よ」
 
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