第二幕その三
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「来たのね」
「うん、ギリキンの国にね」
「私達は今入ったのよ」
ハンクと猫が恵里香に答えます。
「ここからウーガブーの国までね」
「歩いて行きましょう」
「わかったわ」
恵里香は二匹のその言葉に頷いて答えました。
「これからね」
「ここからが長いからね」
ハンクは恵里香にこのことも言いました。
「ウーガブーの国までは」
「ギリキンの端にあったのよね」
「死の砂漠が昔の場所にあった時はね」
「そうよね、今はギリキンの北西の真ん中位にあるけれど」
「今はそうだよ」
こう言うのでした。
「ギリキンのね」
「そこにあるのよね、あの国は」
「谷と谷の間にね」
「わかったわ、じゃあこれからそこまでね」
「行こうね、あとね」
ハンクはベッツイにも顔を向けて言いました。
「ベッツイ、疲れたらね」
「その時はよね」
「僕の背中に乗ってね」
こう一番の親友に言うのでした。
「そうしてね」
「いえ、それはいいわ」
「いいの?」
「気持ちだけ受け取っておくわ」
ハンクのそれをというのです。
「私だけハンクに乗っても他の皆は乗れないじゃない」
「恵里香達はだね」
「そう、だからね」
それで、というのです。
「いいわ」
「皆のことを考えてなんだ」
「私だけ楽をしたら駄目でしょ」
「確かにね。一人だけ楽をしたらね」
「よくないわ、そんなことは悪い人のすることよ」
ベッツイはこうも言いました。
「だからね」
「ベッツイは歩くんだね」
「そうするわ」
こう言ってなのでした、ベッツイはハンクに乗らずです。
そうして歩くのでした、ハンクの横で。そして暫く歩いていてです。
猫が上を見上げてです、皆に言いました。
「お日様が高いわね」
「ええ、そうね」
ベッツイが猫のその言葉に頷きます。
「それじゃあね」
「お昼御飯食べるのね」
「そうするわ」
「じゃあ私は皆が食べる間はね」
「どうするの?」
「周りで適当に遊んでいるわ」
そうしているというのです。
「そうするわ」
「貴女は何も食べないからね」
「そう、だからね」
食べる必要も飲む必要もないからです。
「そうしておくわ」
「わかったわ、それじゃあね」
「遊ぶだけじゃなく見張りもしておくかわ」
皆の周りをというのです。
「だから安心してね」
「わかったわ、それじゃあね」
「ええ、任せてね」
見張りもというのです、そしてです。
皆は道から外れて黄色い芝生の上に敷きものを敷いて腰掛けてです、そしてそのうえでベッツイがです、
テーブル掛けを皆の前に出しました、そこから出したお昼御飯はといいますと。
「ボルシチとピロシキですね」
「そうよ」
ベッツイは笑顔でナターシャに
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