二十六 手向けの涙雨
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だろう。
珍しい漆黒の刃がなんとも美しい。
「屋敷に置いてあった。お前の護身用に、といった手紙つきでな」
漆黒の刃に見惚れていた横島に、ナルトが一声かける。すらりと刃を純白の鞘に納め、横島は「そっか…」と微笑んだ。
大事そうに刀を握り直し、ナルトに向き直す。
「じゃ、…いくぞっ!!」
刀を持つ手とは逆の手から、眩い光が解き放たれる。同時に、触発されたかのように木の葉が数枚舞い上がった。
文珠の白き光が火影岩上にいる者達の身を包み込む。
「さよなら」
一言、別れの言葉を口にする。そうしてナルトは手にしていたモノを天目掛けて放り投げた。
虚空へと吸い込まれてゆく、木ノ葉の紋を一文字に切りつけた額宛と白塗りの狐面。
刹那、舞い上がった木の葉の一枚が深海色の瞳に映った。
「木ノ葉」
火影岩上で輝いた白き光を覆い隠すように、雨が激しさを増す。
そうして、月の代理人―【月代(つきしろ)】と謳われた死神と、忌み嫌われていた狐の子が、その日を境に里から姿を消した。
振りしきる雨の音だけが何かの終わりと始まりを告げ。
うっすらと空に懸かった月が里を嘲るように見下ろしていた。
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