二十四 終幕
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その口から紡がれる詩のような言葉が膠着状態であるその場に静かに響き渡った。
どれくらい時が経っただろうか。片や魂を腹から引き摺りだされ、片や刀を背に突き立てられ。
相対抗する両者は互いに一歩も引かず。
苦境に立たされて猶、頑なに屈しない双方の間を、ただ時だけが刻々と流れていく。
拮抗し合う純粋な力の押し合い。
だがやはり齢が齢である。徐々に圧され始めたのは火影が先だった。
その体力と相俟って、今現在扱っている【屍鬼封尽】の効力が弱化していく。
魂を引き摺りだすこの術は、術者の体力に左右される。つまり体力が不十分である場合、封印までに至らないという事態に陥る。
両者の背中を冷たい汗が滑り落ちていく。だが火影の体力の減退に逸早く気づき、大蛇丸はほくそ笑んだ。
そんな彼に対し、火影はくつりと喉を鳴らす。
「鳥と同じく、牙をもがれた蛇は地にてのた打ち回るだけじゃ」
先ほどの大蛇丸の言葉遊びに乗じ、彼はふざけた物言いで笑った。震える己の膝を内心叱咤し、残り少ない力を振り絞る。
大蛇丸の表情が一転する。微笑を浮かべていた顔から余裕の色が一切削ぎ落された。
絶叫が結界内にて轟く。
満足げな笑みを浮かべる火影の眼前では、悲痛な表情の大蛇丸が自らの両腕を見下ろしていた。
「な…何をした…!?」
印を切り様々な術を繰り出していた、蛇の如くしなやかだった腕が重い。チャクラを込めようとすれば激痛が奔る。
己の身に起きた突然の異変に、大蛇丸は笑えなかった。ただ呆然と、力なくブランと垂れさがっている自身の腕を見つめている。
もはや愉悦すら微塵にも感じられない。破綻した自らの計画を嘆く暇さえ無い。
両腕の自由を奪われた大蛇丸は、奪った本人の声で我に返った。
「貴様の両腕はもう使えぬ。両腕が使えぬ以上、印も結べぬ…」
刀による大量出血により、血の気を失っている火影が空々しく言う。その一言でカッと頭に血が上った大蛇丸は、火影の胸倉を掴もうとした。だが鉛色に変色した己の腕はピクリとも動かない。
印を結べず、腕さえ持ち上がらない彼に出来る事は、ただ吼えるしかなかった。
「この老いぼれが!私の腕を返せ!!」
「お前の野望は…ここまでじゃ」
ゆるりと火影は口許に微笑を浮かべる。彼の脳裏に走馬灯の如く浮かび上がるのは、木ノ葉の里人。
そして月色に輝く髪を持つひとりの子ども。
「…こ、このくそジジイが!私の野望は止まらぬ!!」
大蛇丸の怒号が結界内で乱れ飛ぶ。怒気を露に睨みつける彼を翳む視界で捉えていた火影の身が、ぐらりと傾いた。
ちょうどその時、大蛇丸と火影の間を一陣の烈風が吹き抜けた。
それはほんの一瞬で、風の激しさに思わず眼を瞑ってい
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