二十三 生きろ
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しがみつけよ…!足掻けよ…っ!)
――――――――――生きろよ!!
怪我人だというのも忘れて、横島はハヤテの胸ぐらを掴んで捲し立てた。
「ふざけんな!!アンタ、確か夕顔って恋人いるんだろ!それなのに死ぬとか簡単に言うんじゃねぇ!!」
一緒にナルトの屋敷で過ごしていた頃。屋敷傍で咲く夕顔を見つめながら微笑んだハヤテの横顔を横島は憶えている。
茶々を入れると真っ赤な顔をして夕顔という恋人がいるとはにかみながら白状した――――あれは何だったのだ。
ふっと一瞬、横島の瞳に蛍の光が過る。痛切な思いを胸に抱きながら、彼は声を張り上げた。
「置いて逝くのも辛いことだってわかる!!けどな、置いて逝かれるほうの身にもなってみろ!!夕顔って女性(ヒト)泣かせんのか!?泣かせたくなかったらそんな馬鹿なこと、二度と口にすんな!!!!」
癇癪を起したような、それでいて切実な横島の叫びがその場に響き渡る。瞠目するハヤテの前で、はあはあと肩で息をしながら横島は更に声を張り上げた。
「アンタはどうなんだ!?恋人に会いたくねえのか!?生きたくねえのか!?」
横島の心からの訴えに、ハヤテは肩を震わせた。逡巡する彼の答えを横島は黙って待っている。
とうとう観念して、ハヤテは震える唇で怒鳴り返した。
「あ、会いたいですよ!!会いたいに決まってるじゃないですか!!」
そして真っ直ぐに見据えてくる横島から視線を逸らして俯くハヤテ。嗚咽雑じりで蚊の鳴く様な声を彼は絞り出した。
「い、生きたい…っ。生きたいです…!!」
それは忍びにとってはあるまじき言葉だった。
いくら尋問されても堅忍不抜の意志を持つ忍者の在り様をばっさり切り捨ててしまうような一言だった。
それでも横島の強い眼光には逆らえず、ハヤテはつい本心を口にしてしまっていた。
横島の泣き叫ぶような言葉に、心を動かされてしまった。
今まで内心思っている事も絶対に声に出さなかったのに。横島の切実な叫びに促されて、ハヤテはうわべでは無い本意を明かす。
それは、彼の生きてきた人生の中で初めての事だった。
自責の念に駆られながらも、なぜかハヤテはスッキリしていた。自分は忍びだからというのを言い訳にして隠してきた思いを、積もり積もった自分自身の本当の心を曝け出して肩の荷が下りた気がした。
生きたいという人間らしい言葉を耳にし、どこか満足げな表情を浮かべて横島は拳を握り締める。
「生きろよ!!生きて恋人に…夕顔さんに会えよ!!それで…一緒に生きろ!!」
―――――――だから、そんな簡単に楽になりたいなんて二度と言うな!!――――――
誰かが目の前で死ぬのはもう嫌だ。
八方美人だと非難され、偽善者と罵られ、甘すぎると諭されようが、横島にはどう
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