二十三 生きろ
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されたと…」
急に何の話だと訝しむ横島に構わず、話を続けるナルト。彼の手から洩れる青白い光がハヤテの身体を包み込んだ。
「こいつ等だけが生き残った理由…それは使用した毒物を解毒することが出来たからだ」
「は?」
「毒を自らの血と混ぜ合わせ、更に唾液を含むことで毒は中和される。そしてその際、コイツラの身体中に流れる血は毒を無害にさせる薬となる。故に同じ毒を受けた者が、破璃もしくは瑠璃の血を摂取することで、体内の毒が一瞬で解毒されるというわけだ」
ナルトの言葉を信じられないといった面持ちで聞いていた横島の鼻先に、破璃がずいっと脚を突き出してきた。ナルトが見向きもせず言い放つ。
「論より証拠。呑め。死にたくなかったらな」
ぐっと言葉が詰まった横島はおそるおそる破璃の脚を流れる血を掬い上げる。
確かにナルトが吹き飛ばした音忍は毒つきクナイを横島に振り翳した。流石に二度目となると、毒が身体を巡っていく感覚が解る。
頬のどす黒い切り傷がじくじくと痛み、毒による倦怠感と痺れを感じ始めた横島は思い切って破璃の血を呑んだ。
途端、ハヤテに注入された解毒剤と同じ効果、いやそれ以上のものを感じる横島。ハヤテと同じく頬の切り傷がじゅうう…と音を立てて塞がっていく。
全身の倦怠感が一気に無くなり、毒など最初から盛られなかったのではないかと思うほど身体が楽になった。
「すげ…」
感嘆の声を漏らす横島。ぺろぺろと自らの脚を舐めている破璃をぼんやり眺めていた彼ははっと我に返ってナルトに近寄った。
「ハヤテさんは…ッ!?」
「重傷なところは治した。だが…」
翳していた手を下ろしたナルトがちらりと横島を流し目で見遣る。
「応急措置程度だ。完全に治すには……そうだな。今使わないでいつ使うんだ?」
わざとらしい仕草で肩を竦めてみせた彼は横島に一本の巻物を手渡した。そしてぽん、と通り過ぎ様に肩を叩く。
「処置が終わったらその巻物の中身をハヤテに見せてくれ。記憶消去の術が施されている。お前は決して見るな」
「は!?どういうことだよ!?」
「ここ暫くの記憶を忘れてもらうだけだ。俺の存在もお前の存在もハヤテにとっては無いほうがいい。あと、それが終わったら破璃の背中に乗れ。俺がいる場所につれて行ってくれる」
「ナルト!!」
有無を言わせない言葉に反論しようと口を開いた横島は、ナルトの様子を見てはっとした。
よく見ると彼の姿はボロボロだった。激しい戦闘でもしたのか汚れた服装に、砂がたくさんついている。しかし自分の身より何かを気に掛けているような風情で、ナルトは今にも駆け出すのを我慢しているようだ。
動じていないと思っていたがそれは勘違いだったらしく、酷く焦っている。
「………頼む」
絞り出すような声音で懇願された
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