暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜狩人と黒の剣士〜
英雄の帰還
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れるぞ。
すると、アリスは笑顔で言う。
「まずは、この鋼素製の体の天命を回復させて貰えないかしら?ええと……此方の言葉では、“充電”と言ったと思いますが」
訂正せねばなるまい。
“宅配便で送られてきた美少女ロボットが家庭用コンセントで充電する”現実だ。
俺達がアンダーワールドにダイブしている間に、現実世界はかくも未来へ遷移してしまったのだ。
「ああ……充電ね……どうぞ、好きなだけ……」
最早諦めムードのキリトが、リビングに案内する。俺達も当然付いていく。
マシンボディの充電用プラクは、左脚のふくらはぎと言うやや意外な場所に内臓されていた。おい、科学顧問、煩悩が溢れ出てるぞ。うちの娘に何してるんだ。殺すか?
アリスは引き出したケーブルを壁のコンセントに繋ぐと、ぴんと背筋を伸ばした姿勢でソファーに腰掛け、尚もくるくると周囲を眺め回している。
俺はストレアから渡されたエネルギーパック(どうやら、雷神皇の早期覚醒をしたため、まだ完全に電撃を操れず、普通の食事もままならないため。ただ、飲み物は例外)を飲み、キリトに促す。
「えーと……まず、どうやって自分を宅配便に仕立てるなんて離れ技を実現したのか、そこから教えてもらおうかな……」
すると、アリスは、くだらないことを聞くと言わんばかりに肩を竦め、答えた。
「簡単な事です」
曰く。
分室で、着払いの送り状と梱包テープと大サイズの強化段ボールを用意したアリスは、まず監視カメラの映像に、わざと居室から出ていく自分の姿を記録。
しかるのち、エントランスのカメラ視界外で箱を組み立て、キリトの住所を記した送り状を添付し、各関節のロックを解除しながら箱の中にきっちりうずくまる。上蓋の片側にテープを貼り、内側から引っ張る様にして蓋を畳む。更に、内部からもテープで蓋を仮止めする。
そうしておいて、宅配業者にメールで出荷を依頼する。やって来た業者は、無論ゲートで警備員のチェックを受けるが、メールは確かにビル内から発信された物だし、エントランスには荷物もある。よもやその中に、世界で最も重要なAIが潜んでいる等と知るよしも無く、業者はやや甘いテープの封をきっちり貼り直し、荷物を回収してトラックに乗せ、翌朝に埼玉県は川越市まで配達し……。
「「…………成る程ね……」」
キリトはずるずるとソファーに沈み込みながら呟き、俺はエネルギーパックを飲みながら言う。
結局、アリスは昨日は一歩もある意味では分室ビルから出ていない訳だ。足取りも追えないのも通りだ。
しかし、驚くべきはその手口だ。一ヶ月にしかならないアリスがそれを発想して実行したことに他ならない。
すると、アリスは軽く肩を上下させて言う。
「まだ騎士に任ぜられて間もない見習いの頃、一度この手でカセドラルを抜け出して街を見学したことが在りますから」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ