第一部
第五章 〜再上洛〜
五十七 〜英雄、集う〜
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も仲の良い主従だが……用件を忘れてはおるまいな?
「それで馬騰殿。そろそろ入城の刻限故、他に用向きがなければ後にして貰えぬか?」
「おっとそうだった。あのさ、どうせ用件は同じなんだ。一緒に入ろうぜ?」
「私は構わぬが、既に袁紹殿、華琳……曹操殿からも、誘いを受けている。共に、との事ならば、四人で参る事になるが」
すると馬騰、苦虫を噛み潰したような顔で、
「うへ〜、あの二人と一緒かよ。あたし、どっちも苦手なんだよなぁ」
そう言いながら、頭を掻いた。
「無理にとは申さぬが、先約を破る訳にはいかぬ。後は、貴殿次第だな」
「翡様、どうなさいますか?」
「ったく、これであたしだけ断ったら、ただの馬鹿だって。いいぜ、あたしも乗るとするさ」
呵々と笑う馬騰。
些事には拘らぬ性格なのであろう。
「では、暫し待たれよ。私も着替えて参る」
「ん〜? 別にあたしは気にしないぜ、此処で着替えちまえば?」
「ふ、翡様! いくら何でも、失礼過ぎですって!」
慌てて鳳徳が窘めるが、馬騰は平然と笑っている。
「男の裸なんざ、今更気にしねぇよ。これでもあたしは、一児の母親だしな。ま、ネンネの立子にはまだ無理か?」
「ほ、ほっといて下さい! さ、翡様、外で待ちましょう!」
「そんなに引っ張るな。つーか引き摺ってるぞ、おい?」
喚いたまま、鳳徳に連れ出されて行った。
……兎も角、早々に仕度を整えるとしよう。
程なく、袁紹と華琳がやって来た。
……私の陣に集まる必然性がわからぬが、図らずも英雄が三人、顔を揃える格好となった。
「あら、麗羽。久しぶりね」
「ええ、華琳さん。ご無沙汰でしたわ」
「……あら? 麗羽、髪型を変えたようね?」
華琳が目敏いと言うよりも、気付かぬ方がどうかしている……そのぐらい、変化しているのは確かだ。
自慢であった筈の、髪を螺旋状にしていたのを止め、小波のように緩やかな感じになっていた。
「なぁ、袁紹さんよ? 一体何があったんだ?」
「ち、ちょっとした心境の変化ですわ。この方が、お手入れも楽ですし」
「心境の変化、ねぇ」
華琳は、チラと私を見た。
「何か?」
「いえ、何でもないわ。そう、麗羽があれを変えるとはね……」
そう呟きながら、華琳は自分の髪に触れる。
「これも、貴方の差し金なのかしら? 歳三」
「私は存ぜぬ。そもそも袁紹殿に、そのような事を言える立場にはない」
「そ、そうですわ。土方さんは関係ありませんことよ?」
「ふ〜ん、にしちゃ、やけに土方を意識しちゃいないか?」
にやにやしながら、馬騰が言う。
袁紹は……顔が真っ赤だ。
「ば、馬騰さん! これはわたくしの一存ですっ!」
「だってさ。で、土方はどう思うんだい?」
「……悪くないのではないか。少な
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