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魔法使いへ到る道
10.進路の話をすると鬼の腹筋が攣る
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 二年生になった。
 と言っても大した変化があるわけでもない。クラス替えはなかったし、授業の内容も相変わらず欠伸の出るようなものばかりで、強いて言うなら教室の位置が玄関から遠くなったくらいだ。
 とかなんとか枯れてることを考えているのは当然のように俺だけで、同学年の子たちはそわそわと浮き足立っている様子だ。進級できたことが嬉しい様子。後輩も出来たしねー。お兄さんぶったりお姉さんぶったりしたいんだろう。
 精神年齢大人の俺から見ればどっちもどっちの可愛らしいガキ共なんだけど。
 でも子供ってやっぱり成長するのが早いね。ちょっと前まではどいつもこいつも同じように遊んで騒いでいたというのに、今では外で遊ぶ子、本を読む子、男と女に分かれてちょっと衝突していたり、中々どうして情緒豊かになっている。
「なによ!私たちが先に遊んでたんじゃない!」
「うるさい!女子はあっちいけよ!」
 やれやれ、今日もまたどこかで諍いが起きる。何故人は争わずにはいられないのだろうか。とかなんとか。
 場所は学校の運動場。休み時間に遊んでいた二つのグループがいがみ合っている。というかどっちもウチのクラス。男子と女子のグループのリーダー格がにらみ合っている。
 男子リーダー、佐々木勇気。女子リーダー、アリサ・バニングス。
 二人とも性格は明るく社交的。リーダーシップを発揮して周囲を引っ張っていくタイプだ。ちなみにどっちも顔面偏差値勝ち組だったり。
 もうちょっと大きくなれば二人とも争うことなくお互いにとっていい落としどころを見つけて仲良くできるんだろうけど、生憎と今は多感な時期なのだ。こんなこともままあるだろうね。
 とは言っても黙って見ているのは性に合わないので、同じように心配して仲裁に向かいそうだったすずかに目配せしてから二人の間に割って入った。
「おいおい、お前ら。ケンカなんてしてんなよ」
「わるいのはこいつらよ!あとから来たくせに割り込んできて!」
「なんだよケンジ!女子の味方するっていうのかよ!」
 さし合わせたようにほぼ同じタイミングで噛みついてくるが、同時に窺うような視線を向けてくる。彼らの後ろに控える子たちも似たような感じだ。
 俺のクラスでの立ち位置は中立派、強いていえばバランサーだ。男子ではあるが女子のリーダー的存在であるアリサと親しく、何より男だから女だからと騒いだりしないので自然と二つの勢力の間を受け持つ役割を果たしている。
 ケンカが起こればそれを止めて悪かったことを反省させる。言ってしまえば簡単だがこれが意外と難しい。どちらか一方の肩を持つことのない公平なジャッジを要求され、そのことをしっかりと理解させる必要もある。こういったことを数回繰り返すうちにクラスの中ではある傾向がみられるようになった。
 争いが起きれば八代健児に頼る
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