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魔法使いへ到る道
10.進路の話をすると鬼の腹筋が攣る
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ときたもんだ。
 恐ろしい!憧れを持たない、いや持てない子どもは恐ろしい!
 目標を決めるのはそりゃあ早い方がいいだろう。実力をつけるのに十分な時間があるに越したことはない。その一環として三人娘は塾に通ってめきめきと学力を伸ばしている。まだ俺の方が上だけど、いつまでそうして偉そうにしていられるだろうか。なにもしていない俺ならば、早くても中学生くらいにはこいつ等か或いは他の誰かに越されるだろう。そうなるのも癪だからちょっとは頑張ろうと思うけど。
 中高一貫だからそこまではいいとして、大学受験やだなー。もう二度とやりたくないなー。
「アホのケンジはいいとして。なのははどうするの?やっぱり喫茶翠屋の二代目?」
「うーん、それも将来のヴィジョンの一つではあるんだけど」
 話題を振られたなのはは、なんだか憂鬱そうな表情をしていた。というか俺はなのはが『ヴィジョン』とかかっこいい単語を使いこなしているのに驚いた。塾通いってすごい。
「他にやりたいことがあるようなないような、はっきりしなくて。……私、特技も取り柄もあんまりないし」
「このバカチン!」
 ぺたり、と。なのはの頬にレモンの輪切りがへばりついた。投げつけたアリサはぷんすかしながら、
「自分からそんなこと言うんじゃないの!」
「そうだよ!なのはちゃんにしか出来ないこと、きっとあるよ!」
 こればっかりはすずかも一言物申したかったようだ。なんて友達思いのいい子たちだろうか。
「大体アンタ、理数の成績はこのアタシよりもいいじゃない!それで取り柄がないとかどの口が言うのよ!」
「あ〜ぅ」
 ぐにぐにと伸び縮みするなのはのほっぺ。そろそろ周囲の目が厳しくなってきたので介入しようか。
 落ちたレモンを齧りつつ、
「落ち着けよアリサ。なのはに負けているのは理数だけだろう。文系と体育ではそいつはぽんこつだ」
「そうね!理数も文系もアンタが一番だものね!」
「そうかっかするなよ。あともう放してやれ。だるんだるんになって戻らなくなるぞ」
「あ、ごめんなのは」
 ぱっと手を放すとぷるんっとした弾力性を見せて戻るほっぺ。あうあう言いながら頬をさすっているなのはに向かって、
「なのはも、あまり自分を卑下するのは感心しないぞ」
「ひげ?おひげなんてなのは生えてないよ」
 難しい言葉を使った俺が悪いが腹が立ったので一発ぶっておく。
「自分に取り柄がないなんて言うなってことだ。なのはにだっていいところはたくさんある」
「ホントに!?たとえば、なに?」
 期待するようなキラキラの瞳で見られると無駄に緊張するな。特に考えなしに喋っていた俺は少し頭を悩ませて、
「(にっこり)」
 精一杯の笑顔を浮かべた。
「なにか言ってよ!」
 涙目で騒いでいるなのはちゃんってば可愛いなぁ。
「まあ
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