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魔法使いへ到る道
10.進路の話をすると鬼の腹筋が攣る
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む」
 アリサの家はマジで上流階級っぽいので、振る舞いとか嗜みとかレディとか乙女とかいっとけばどうにでもなる。
「ほれ、それぞれ悪かったところがわかったな。それじゃあ次にすることはなんだ?」
「……ごめんなさい」
「……こっちこそ、ごめんなさい」
「よろしい」
 これにて一件落着だ。成り行きを見ていたクラスメイトたちがぱちぱちと拍手を送る。いえーい、とピースで答えた。なんだったら上着を肌蹴たいところだ。桜なんて舞ってないけど。
「ケンカも終わったならあとは目一杯遊べよ。分かれて遊んでも混ざって遊んでも、全員でなのはの監督をしてもいい」
「やめてよっ」
 ここにいる男女合わせて十一人で輪を作り、その中心でなのはにひたすら跳ぶ練習をさせる図。最高だと思うのだが。
「そんなことになったら、なのは泣くよ!?わんわん泣く!」
「そん時は頭撫でて泣き止ましてやる」
「え、頭なでなでしてくれるの?それじゃあ、わ、わーん」
「ウソ泣きにしても下手すぎる……」
 でも顔を覆った手の間から期待するようにちらちらと俺の顔をうかがうなのはちゃんがカワイ過ぎるのでお願いを聞いてしまう。なのは、恐ろしい子ッ!


 3年生になった。
 クラス替えがあって離れてしまった友達はいるものの、そういえばクラスに関係なく仲のいい奴らは割かし多かったので大して変化があった気もしない。
 大きな変化としては携帯電話を持つことが許されたことと自分の部屋が出来たことくらいだろうか。
 保護者たちのお茶会で話し合った結果、なのはとアリサとすずかと俺は同じタイミングでケータイを購入させてもらった。小3で持つのはちょっと早くね、とは思ったものの、あいつらは年の割にはしっかりしているし、フィルタリングもちゃんとかかっているし、何より俺がしっかりと監督すれば大丈夫だろう。
 ちなみに新たに個室が与えられたのは俺となのはだけ。ほかの二人は随分前から一人部屋が与えられていたらしい。ブルジョワめ。にらんでやる。ぎろり。
「あ?何ガンつけてんのよ。やる気?」
 淑女らしくしろよおぜうさま。なんでそんなヤンキーみたいな反応をするんだよ。というか目力半端じゃない。お弁当のアスパラベーコン巻きを咀嚼しながらも俺はきゃん玉袋が竦みあがるのを感じた。あ、チーズ入ってる。
「まあ、どうせバカなこと考えてたんでしょ。そんなことよりもちゃんと考えなさいよ?将来のこと。なのはもね」
 そうなのである。さっきの授業で先生ってば面倒くさいことを言いだしたのである。
 いや、普通ならここは子どもらしく『パイロット』とか『お花屋さん』とか『宇宙飛行士』とか、そんな夢を描くべきなんだろうけれど、目の前にいる奴らときたら、
「いっぱい勉強して、パパとママの会社を継ぐ」
「工学系の専門職が良い」

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