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魔法使いへ到る道
10.進路の話をすると鬼の腹筋が攣る
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、というもの。みんな頭ではケンカはよくないとちゃんとわかっている。けれどまだ未熟な精神ゆえにどうしてもぶつかってしまう。
 何が悪くて何が良いのか。どちらが悪くてどちらが良いのか。お子様の彼らにはまだわからない。わからないからそれが判断できる俺に頼る。子供にしてはよく考えられていると言えるだろう。
「やかましいわアホ共!ケンカせずに仲よく遊べ!そして俺も混ぜろ!」
 しっかりとした大人の俺でしかできない大役といってもいい。どうだ。争っていた二人が唖然とした顔をしている。
「ケンジくんケンジくん、それはちょっと違うと思うな」
 と、後ろのすずかが苦笑気味に言ってくるが、ちょっとよくわからないです。
 すずかも俺と同じ中立派。同級生に比べてちょっと大人びている彼女は子どもじみた争いはしない。俺と違って積極的にケンカに介入したりはしないが、目の前で起こっているようなら止めに入るし手におえなければ俺を呼ぶ。そんな感じ。
「そーだよー。それにケンジ君はなのはのとっくんに付き合ってくれるって約束したの」
 くちびるを尖らせてぶーたれてるなのははまた違った意味で中立派。正確にはそもそもこいつには勢力争いという考えがない。まだ男女の垣根というものが分からないのだ。みんな仲良くがこいつの理想である。眩しい。
「何が特訓だ。あやとびの練習くらいでそんなかっこいい言葉を使うな」
「なのはにとってはそれくらい大変なことなの!修行といってもいいくらい!」
「よくない」
 体育の時間にちゃんととべなかったなのははこうして小学生にとって貴重な休み時間を消費して努力を続けているのだ。いつも一緒にいる俺とすずかとアリサがひょいひょいできたから自分だけうまくいかないのがくやしいのだろう。かわいいやつだぜ。
 頬を膨らませるなのはにほっこりしていると、その姿に毒気を抜かれたのか勇気とアリサの表情から大分険がとれている。これならこちらの言葉もすんなり受け入れられるだろうと判断し、口を開く。
「勇気よ。手に持っているボールを見るにサッカーをしようとしていたのは分かるし、それなら確かにそこそこの広さがいるのも分かる。でもお前らの人数は少ない。その分使う広さも少なくなるだろう。ここの一つしかないゴールはもう上級生が使っているんだし、できるのがボール回しくらいならなおさらだろう」
「うぐ、そ、そうだけど……」
「何より女の子に怒鳴り散らすのは男らしくない。格好悪い。ださい」
「なん……っ!」
 がっくりと項垂れる勇気。この年ごろの子どもはヒーローとかに憧れているから格好悪いことを嫌うので、こういっときゃ大体なんとかなる。
「そしてアリサ、お前もだ」
「なによ、私はひがいしゃよ」
「同じように怒鳴りあっていたから同じだ。あんな振る舞い、レディとはいえないな」
「む
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