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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
黒守黎慈とフェンサー(3) ─譲れないモノ─
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でまあ要約すると、俺に殺してでも止めなきゃいけない責任があって、慎二にも殺されても文句を言えない責任があったから、だ」
魔術師など常に死と隣り合わせの肩書きだ。
責任などなくとも魔術社会は一歩間違えれば死が待っている。魔術師としての物心付いた時点で、相応の覚悟を抱いて生きるのが定めといえよう。
何度か考えたことだが、慎二にそんな覚悟があったのかはまた別の話だ。
サーヴァントを召喚し、聖杯戦争に参加して、魔術師として戦った。
アイツはアイツの判断で行動し、無関係の人間を巻き込んででも勝利を目指した結果が学園での惨状だ。
一度見逃したせいでそうなった、だから俺は自分の責任を認めてケジメをつけるためにライダーとの戦いに臨んだ。
士郎あたりなら慎二を許せない敵として戦ったのだろうが、俺が許せなかったのは自分自身だった。
「なら、相手が清廉高潔なマスターだったら命は奪えないの?」
「そんなことはない。殺さなきゃ殺される状況なら勿論殺すさ。
…………結局何が聞きたいんだ? 俺が最終的に手を下す条件付けか?」
「そんなところかしら。例えば仲の良いセイバー、アーチャーのマスター相手でもそれは変わらない?」
「おまえ、俺を嘗めてるだろ。いざってときに殺せませんなんて言わねえよ。つか慎二殺しちまってるのにありえねえだろ」
さっき戦ったばかりのイリヤとて例外ではない。
全力で倒そうとしたし、何とか接敵して放った攻撃も手加減など一切してない。
互いに手を尽くしつつ、今回は引き分けとなっただけ。
撤退という目的を果たしたという意味では、こちらの戦略上勝利と見てもいいくらいだ。
魔術師としてのイリヤの実力を見れたという意味でも、全く無駄に終わった戦いではなかったと思っている。
いずれまた戦うことにはなるだろうが、そのときは万全を期して挑みたいところだ。
「それなら今後もしもイリヤスフィールと出会ったら、その時に手は下せるかしら?」
今考えていることを見透かされたかのように、フェンサーの言葉が頭を通り抜けた。
「何度か話してるってことは、貴方に対して警戒心が薄いということでしょう? ならそのときに手を出さない理由はないわよね。真っ向から攻略できないバーサーカー相手には、マスター制圧が優先されるのは当たり前なんだから」
それはそうだ、当然だ。いや、アレ? じゃあなんでその選択肢が今まで一度も浮かばなかった?
出会った最初は警戒していたけど、すぐにそれもなくなった。
昼間はマスターじゃない。だから戦わない。個人として出歩いているだけ。そんなのはイリヤの勝手な事情だろう。俺が気にしなきゃいけないようなことじゃない。
そう言いつつ夜には
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