真相
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11年前、とある管理外世界で闇の書が覚醒した。目覚めたその本と守護騎士は、当然管理局に狙われる事となり、守護騎士達は幾度も交戦した。彼女達が戦っている事も何も知らずに願いを叶えると言われて主が求めたのは、まだ幼い娘の健やかな成長と幸せ。しかしその想いは、彼らが知らなかった真実によってあっけなく撃ち砕かれるのを、その時は誰も想像だにしなかった。
ある日、彼らは闇の書を完成させた。数多の妨害を乗り越えて……否、管理局によってそう思わせるように仕組まれていた。奇しくも未来でグレアム達が計画したように、主と守護騎士を取り込ませて闇の書を完成させる事で、当時の管理局の計画が次の段階へ移行する。
覚醒時に生じる隙を突いて封印魔法を使用、それが管理局の目的だった。当初の計画は予定通り上手く行き、後は虚数空間と呼ばれる場所に投棄することで闇の書事件の終焉を迎えさせる。転生機能も虚数空間では機能しない、そう考えていた管理局にとって、計画の成就は闇の書事件が二度と起こらなくなる、そういう手筈だった。だがそのはずは、封印を打ち破った闇の書の暴走によって狂いが生じる。結果的に多数の局員が負傷したものの、戦艦一隻と一人の局員の殉職によって、その事件は一旦の終結を見せた。
後に闇の書は地球の八神はやての手元で転生するのだが、それは“次”の話だ。“前”の件で、管理局は三々五々、あらゆる場所に人を送っては事件の謝罪や賠償、後始末をしなければならなかった。その中には当然、闇の書の主の親族に対する中傷などもあった。
「この子の母親は、突然夫を失った挙句、被害者一同の行き過ぎた中傷や暴挙によって、命を落としてしまった。当時まだ4歳と幼いこの子を残してね……」
「やり過ぎた連中は治安組織の一員としてちゃんと逮捕したけど、当時の私達も彼らの言い分は理解出来たのよ。クロノとリンディを残して逝ったクライドの件があったから、どうしても彼女達の擁護はあまり気が進まなかった。闇の書に対する憎しみに、私達の心は飲み込まれていた。だから両親を失ったこの子は、誰も引き取ろうとも、育てようともしなかったわ。私達でさえも、近付く気にすらならなかった」
「この子を引き取るという事は、闇の書の主だった父親と向き合わなければならない。でも次元世界では誰もそれをする気にはならなかった。皆、闇の書に関わる者全てを憎んでいたんだ。だからある日、突然この子が姿を消した時、誰も探そうとも心配に思う事も無く、むしろ厄介払いが出来たと思っていた。法を司る管理局さえもね」
「でも監視カメラの映像から、この子を連れて行った人間は判明していたの。それはアレクトロ社を翻意にしていた局員だったわ。そこからアレクトロ社に彼女が内密に匿われたという所までは知っていたんだけど……わざわざ見つけて助け出そうと思えなかった」
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