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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 肆
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報を聞く。

『アレは十中八九コアがあるタイプだ。周りの硬質化した木は全部ガワで、どっかに本体がある』

 コアがあるタイプ――要するに、どれだけ攻撃しようが部位破壊以上に意味をなさず、本体のHPは削れないという厄介なタイプ。程度の差はあれど、四人はそれぞれあのデスゲームを生き延びたプレイヤーであり、それらとの交戦経験も撃墜経験もある。ホークからの情報にあっさり同意すると、リクヤはさらに腕時計に問いかける。

「で? そのコアは?」

『……現在調査中です』

 ホログラムの中のホークがリクヤから顔を背けると、いかにも「調査してますよー」といったポーズを取るように羊皮紙を捲る。リクヤは溜め息混じりに気合いを込め直すと、後退を止めて樹木の巨人へと向き直る。

「そんじゃ、俺があいつを止めてる間に、誰かコア発見を頼むぜ!」

「リ、リクヤさん……」

「たまには俺も混ぜてもらおうか」

 二刀の大剣を構えて逃走を止めるリクヤの横に、両手斧を肩に構えながらエギルが並び立つ。樹木の巨人はゆっくりと、しかして確実にリクヤたちに迫ってきていた。

「怪我してるんだからあんまり無茶するなよ?」

「ま、吸い込まれるようなヘマはしないさ」

 重装備の二人が樹木の巨人を引きつけている隙に、シリカとエミがコアの調査をしながら可能なら破壊する。そして忘れてはいけないのが、内部にいるであろうユカとリーファの救出――ただしこれは、樹木の巨人の内部がもしもあのブラックホールならば、ミイラ取りがミイラになるだけの危険な賭。しかし、リーファとユカが中に吸い込まれた状態で樹木の巨人を倒してしまえば、あの二人に何が起きるかは保証できない。

「シリカちゃん。リクヤくん達が心配なのは分かるけど、だからこそ早くコアを探そう!」

「……はい」

 シリカは心配そうにリクヤとエギルのことを見ていたが、エミの言っていることももちろん分かるのだろう。肩に乗った青い小竜とともに、シリカたちは目立たぬように樹木の巨人へと向かう。樹木の巨人はリクヤを基本的に狙っているので、接近するだけならば容易だったが。

「あ、そうだエミさん。これ、預かっててください」

「えっ?」


 ――各員の腹は決まった。樹木の巨人は遂にリクヤたちのところにまで到達し、リクヤとエギルに向かって一本ずつ大剣を構える。二刀の大剣とリクヤを模倣したと言えば聞こえはいいが、その攻撃は勢いよく振り下ろすだけ、というお粗末なもの。だが、それだけでもその威力は申し分ない――高層ビルが意志を持って倒れ込んでくる、とでも言えば分かりやすいだろうか。

 ――その攻撃が二人を襲う。

「ぐっ……!」

「うおっ……!?」

 それでも何とか二人は耐えてみせると
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