第椅子取話 肆
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びその身体が焼かれるかと思いきや、漆黒の炎は樹木の巨人に接触した瞬間に消えてしまう。
「えっ」
リクヤの驚愕とともに樹木の巨人の蹴りが炸裂し、もう一本の大剣で何とか防ぐものの、衝撃は防ぎきれずにリクヤは思いっきり吹き飛ばされてしまう。島全体を燃やしたものだからどこかにぶつかる、ということもなく、ゴロゴロと大地を転がっていく。
「木なんだから燃えろよ!」
『耐性が付いたみたいだな……』
もはや樹木の巨人に炎は通用しない。ホークは新たに手に入れたその情報を併せ、改めて情報を精査する。あの巨人の突破口を。
「リクヤさん!」
リクヤが大地に膝をついて態勢を整えていると、海岸線の方角から三人が駆け寄ってきた。シリカにエミ、少なくない手傷を負っているエギル。リクヤはひとまず三人に合流しようとするものの、樹木の巨人から振り下ろされた追撃を二刀で受け止める。
「ぐっ……このっ!」
人とビルほどの大きさの違いがあるにもかかわらず、リクヤの二刀は樹木の巨人の大剣を弾き返す。しかし樹木の巨人の大剣も二刀あり、リクヤを一刀両断せんともう一刀を横になぐ。
「あぶねっ!」
何とかその横薙をしゃがんで避けながらも、海岸線の三人がいる方向へと飛び込んで合流を果たす。三人もそれぞれの武器を構えるものの、その桁違いのサイズを誇る樹木の巨人に対し、どう戦うか手をこまねいていた。その樹木の巨人はというと、ゆっくりとリクヤのいる場所に方向転換し、いつでもその二刀の大剣を振り下ろせるようにしていた。
「モテる男は辛いみたいだな、リクヤ」
「……勘弁してください」
「ひ、ひとまず距離を取ろうか」
エミの現実的な提案に従って、四人は焦土と化した島を樹木の巨人から離れるように逃走する。樹木の巨人の動きは比較的ゆっくりなため、逃走すること自体は難しくなかったが、それでは何の解決策にもならない。その上、逃げるといっても樹木の巨人のリーチは長く、あまりにも逃げ続けていたら海に追い込まれてしまう。そうなれば終わりだ。
『……よし、これならいけるぞ』
「っしゃ! 待ってたホーク!」
「ホークさん……?」
リクヤの腕時計のことを知らなかったシリカが興味深げに覗き込むと、ホログラムのような小さなホークがガッツポーズをしており、何やらその周辺には羊皮紙のようなものが散らばっていた。
「ああ、シリカたちは見るの初めてか? この腕時計にホークが入ってるんだぜ!」
『……まあそれでいいか。それより、出血大サービスで無料の情報』
エミとエギルは驚かないのか? ――とリクヤは少し驚いたものの、今はそんなことを聞いている場合ではない。変わらず樹木の巨人から逃走しながらも、ホークの精査した情
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