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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月二日:『交わる道』
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「残念でしたわね────そうは問屋が卸しませんの」
「ッ……マジか、こんなお嬢ちゃんに俺の打ち根が……そりゃあ、伊賀滅ぶわ」


 精密に空中で、空間移動(テレポート)した『金属矢』により撃ち落とされて。空気抵抗の乱れを受けて、矢は墜落する。
 その『金属矢』を投擲した頭巾のような帽子の少年の目前に、両手に太股のホルダーから抜き取った『金属矢』を飛ばした黒子が現れた。


()()()()に周辺の警戒をしておりましたもの、当然の結果でしてよ。そんな事より障害未遂の現行犯、貴方も捕縛させていただきますの!」
「上等だ、来いよ高位能力者。“武装無能力者集団(スキルアウト)”の力、見せてやる!」


 嚆矢の『人差し指を回す』……即ち『周辺の警戒』を促すハンドサインを受けたからこそ、彼女はこの少年の存在を察知して迎撃、捕捉が出来た。
 同じ『金属矢』を獲物とし、『相手の意表を突く事』を得意とする二人が相対して。


「────シッ!」


 均衡は一瞬で。再度、少年は目にも留まらぬ速さで投擲し────


「甘いですの!」


 黒子は目に留まる要素すらない、十一次元を経由した投擲により『それ』を撃ち落とした。


「ああ────全くだな、駒場!」
「────なっ!?」


 細長い、スプレー様の『催涙弾(それ)』を。直ぐ様破裂したそれは、小さな路地裏程度は白一色に染め上げて。
 利徳は嚆矢と対峙したままで、彼の名を叫んだ少年と全く一緒に。その投げ渡した、水泳用のゴーグルと塗装用のマスクで作ったと見える手製のガスマスクを片腕で被る。


「黒子────ッ!!」


 一方、白煙に呑まれた黒子に意識を逸らした嚆矢。有り得ざる隙だ、そして次の刹那にはもう────バキリと、生木を割くような不快な音が。


「油断大敵……だ」
「──────────────」


 喉まで上った声を、食い縛った歯で押し留めて呑み込む。梃子の原理で関節が逆に曲がった左腕が、まるで火が着いたように熱く痛み────


「退け────邪魔してンじゃねェ、三下ァァァァッ!!!!」
「────ぐふっ!?」


 その『折れた左腕』で、鳩尾(みぞおち)の僅かに右に打ち上げる肘打ちを貰う。所謂、肝臓の位置だ。
 如何な大男はだろうと、急所は急所。しかも魔術による身体強化を受けている者からの渾身の一撃。常人ならば、背中から肝臓が転がり落ちても何ら不思議ではない。


 それを片膝を突いたくらいで耐え切ったのは、一重に利徳が弛まぬ努力によりアスリート並みに身体を鍛えていたからに他ならない。
 追撃に備え、直ぐ様彼は腕を構えて────既に白煙の中央
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