エピソード30 〜盗まれたデッキ 前編〜
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が今は装着されているのを見る限り、決闘の際の衝撃でバランスを崩し、岩から落っこちたのだろう。
「翔!大丈夫か!」
十代がすぐさま駆け寄り安否を確認する。どこか打ったのか痛そうにしているが問題は無さそうだ。
ひとまず安心すると、翔たちがいるのとは反対側、崖側の岩場に立つ男へと視線を向ける。月夜をバックに高笑いをして満足げな笑みを浮かべているその男はラー・イエローの制服を着ているため、ここの生徒だろう。そして、状況的に鑑みてあいつが黒確定だ。
「神楽坂!」
同じくラー・イエローの制服を着た生徒、ーー三沢と言うらしい、が名前を叫ぶ。だが、全く反応を示さない。
「神楽坂!今すぐ、そのデッキを返せ!」
三沢が声を荒げ、そう言うとようやく笑いを止めこちらへと向き直る。
「三沢か……。残念だが、それはできない相談だ!」
「っ!?なぜだ!」
「なぜ?……簡単な事だ。なぜなら、これこそが、俺が求めていた最強のデッキだからだ!武藤 遊戯の決闘を徹底的に研究し尽くした俺なら、このデッキを100%扱う事ができる!これさえ、あれば俺はもう誰にも負けやしない!クロノスだろうが!カイザーだろうがな!」
「……そうだな、確かにお前がもう負ける事はないだろうな。」
より一層高く笑い声を上げる神楽坂。膠着状態の中、紫苑が一歩前へと進み、『呆れ』を表情にだしながら、口を開く。その言葉を良い意味で受け取ったのか口角を上げ、笑みを深くする神楽坂。
「あぁ、お前の言う通りだ。俺はもう誰もにも……「いや、少し違うぞ?」なにっ!?」
台詞の途中に口を挟んだ事で鋭い視線を紫苑へと向ける。だが、当の本人は逆に笑みを浮かべ言葉を続ける。
「お前はもう決闘をすることはないんだからな。誰も決闘しなきゃ負ける事はないだろう?な?」
「「「は?」」」
ニヤリと笑いそう言い放つ紫苑に対し、神楽坂は疎か、十代達までハテナを浮かべる。
「展示室への『不法進入』に、ガラスケースを破壊したから、『器物破損』だろ?それに、遊戯さんのデッキを盗んだ事で『窃盗』だ。これだけあれば有罪だろ?」
「な、な……。」
勝ち誇っていたところにいきなり刑務所行きを宣告され、言葉が続かなくなる。
「くっ、こうなったら……。なら俺と決闘しろ!」
「だが断る!」
紫苑はバッサリと切り捨てる。
「お前、デュエリストじゃないのか!?」
「リアリスト、だっ!って言いたいところだけどな。第一、俺に決闘するメリットなんてないだろ。」
はぁ〜、とため息混じりに答える。いつもの十代なら「なら俺が代わりに決闘するぜ!」と名乗り出てきそうなものだが、空気を読んでか後ろでおとなしくしている。そんな
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