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目的の為には
4部分:第四章
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者にもわかることだった。
「より多くの者が死に苦しみました」
「だからだ。私は倒した」
「しかし。ホリン様は」
「多くの命を救う為に少ない命を捨てる」 
 ホリンは一言で述べた。
「そしてその命はだ」
「ホリン様が」
「背負う。それだけだ」
 あくまでだ。それだけだというのだ。
「そういうことだ。わかったな」
「辛いですね」  
 従者はそのホリンの心境を察して。こう言った。
「それは」
「辛いとは思わない」
 だがホリンは言った。
「そうは思わない」
「そうなのですか!?」
「それが私のしなければならないことだからだ」
 それでだというのだ。
「それでどうして辛いと思うのか」
「あの、ですか」
「当然のことだ」
 ここでは従者の言葉を遮った。そのうえでまた言うのだった。
「私は戦士なのだからな」
「戦士だからですか」
「戦士は命を救う者」
 まさにそうだとも話す。
「そして背負う者だからだ」
「死ぬ命も」
「これでわかってくれたか」
 従者に述べる。そうした話をしたのだ。
 従者はそのホリンの言葉を聞いた。そしてだ。
 ホリンの方、彼から見て後ろをちらりと見る。すると。
 ホリンは座っていた。だがその組んだ両手の十本の指は腕にめり込みそこに血を流させていた。そして唇もだった。
 噛み締めるあまり血が滲み出ていた。それが戦士だった。ク=ホリンという男だった。言葉以上のものをだ。そこに含んでいたのである。


目的の為には   完


               2011・6・29

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