クズノハ提督来訪
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る。それと同時に一人の少女がうんざりした様に溜息をついた。
「……相変わらず面白く無い人デース」
近くのソファに深く腰掛ける。白くほっそりとした手でティーポットから紅茶を注ぐと、たちまち紅茶の芳醇な香りが立った。
「やっぱり、ティータイムは大事にしないとネー」
上機嫌にカップとソーサーを手に取り、口元へ運ぶ。
「今はこの時間だけが楽しみデスから……」
カップが空くと同時に香りも徐々に薄まっていく。
「Oh!! そういえばスコーンのストックがもうアリマセーン!」
怪しげな口調で叫びつつ、少女が席を立ち財布を手に取る。
「手作りもGood! デスが、最近駅前に美味しいスコーンのお店を見つけたのデース!」
誰にするともない説明をしながら、少女は部屋を後にした。
「ふー、着いた着いた。やっぱり新幹線は快適だったねぇ、高いだけあるね、うん」
「交通費かかってないけどね、これも」
葛葉、芝田、そして銀髪蒼眼の艦娘 響は駅の改札口前にて休憩を取っていた。
「そういえば葛葉。その娘の名前なんだけど……」
地図を広げながら芝田が尋ねた。
「一応、彼女の意思を尊重するならだけど……Верный(ヴェールヌイ)じゃないの?」
芝田の疑問を聞き、青く澄んだ瞳に葛葉が映る。
「まぁ呼びづらいからな。それに響の方がいいだろ? 響きが」
葛葉は得意げな顔で親指を立てて答えた。
「……そーだね」
「……そうだね」
当の青い瞳までもが逸らされた。
「葛葉はこんな風にどうしようも無いときがあるからね……頼んだよ、響」
「了解」
「……」
葛葉は得意げな顔をしたまま固まった。
「そろそろ行こう。万一遅刻なんてしたら怒られるからね」
芝田が地図を仕舞いながら二人に呼びかけた。
「……早く行くよ司令官」
響が葛葉の手を引き、歩き出す。
「こらそんな引っ張るな……っとと」
よろめきながら葛葉も手を繋いで歩き出した。
「ありがとうございましたー」
ーー大本営から徒歩十分程のカフェにて。
「今日も相変わらず賑わってマシタが、無事買えて良かったデース!」
周りからの視線も気にせず、やたらと目立つ少女は目当ての品を手に店を出た。
「勝手に出て来てしまいマシタが……すぐに戻れば問題Nothing♪」
意気揚々と走り出そうとしたその時、少女の肩が軽く叩かれた。
「ねぇキミ、今暇? 良かったら僕達とお茶でもしない?」
少女が振り返るとそこには三人の青年がいた。
「Ah……えーと……」
「しかしキミ可愛いね! 服もオシャレだし肌も白くて綺麗だし」
肩を叩いたと思われる青年が捲し立てるように褒めちぎる。
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