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クズノハ提督録
クズノハ提督来訪
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鎮守府での騒動から数日後、葛葉は大本営のある地へと向かう新幹線に乗っていた。

駅のホームに発車メロディーが流れる。
「葛葉、次で降りるよ」
「……んぁ?」
向かい合って座る男の声で起きた葛葉は、寝ぼけ眼で窓の外を見た。
「司令官、ヨダレが垂れてる」
横に座る銀髪の少女がハンカチを差し出した。
「おぉ、ありがとな」
「……ん」
少女がほんの少しだけ頬を赤らめる。
「すっかり君に懐いてるみたいだね。その娘」
目の前の男は眼鏡を整えつつ微笑ましそうに言った。
「素直で人懐っこい奴なんだよ」
「……ん」
少女はほんの少しだけ苦笑いを浮かべた。
「あー……そっか。うん、仕方ないね葛葉だから」
メガネの男は何かを悟った様に嘆息し、呟いた。
「ん? まぁいいや。しかしお前まで一緒に呼ばれるとは思わなかったなぁ……」
葛葉は目を擦り、改めて目の前に座る男の顔を見た。
「……芝田」
「僕も呼ばれたんだよ。長門たちの現状について教えてくれるってさ」
安藤は長門型戦艦達のことは葛葉と芝田にしか話していないらしく、また二人も他人に教えたりはしていない。そこで大本営はこの二人を安藤と同様、大本営関係者として長門型戦艦捜索作戦に参加させると決定したのである。無論、全て安藤の意見によるものだが。
「あの安藤がそんなに偉い人の娘だったなんてね。世の中何があるか分からないね」
「そこまで言ってやるなよ……多分……きっと真面目な奴なんだから」
「でも駆逐艦娘を追いかけてる姿を見てると……何だかなぁ」
これには葛葉も何も言わなかった。すると、彼の隣に座る少女が袖を引っ張った。
「どうした?」
「安藤って……もしかしてこの前メールを送った人かい?」
青い瞳を丸くして、少女は尋ねた。
「そういえば一切話してなかったな……あいつは俺らの友人だ」
「それと、君みたいな駆逐艦娘は……気をつけた方がいいよ」
少女は一瞬意味が理解できなかった様に芝田の顔を見た。しかし、すぐ様白い顔をさらに青白くして葛葉を見つめた。
「あ、安心しろ。一応……女だからな。節度は、多分ある……と信じたい」
「歯切れが悪いよ司令官?」
「まぁ、流石にいざという時は何とかするから……」
「司令官……」
目の前で震える少女とその司令官を見ながら、芝田は口元を緩めた。
「しかし……まさか葛葉が、噂のВерный(ヴェールヌイ)の指揮を執ることになるなんてね」
窓の景色に目を移し、呟く。
「このまま四人目も……まさかね」








ーー大本営とある部屋にて。
「今日は出撃の予定は無い。だが、緊急時に備えて警戒は常に怠るな。以上」
男が淡々と言葉を発し、部屋を出
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