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【SAO】シンガーソング・オンライン
外伝:俺達はいつだって
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が残ってるって言うんです?今からSTRに振ったって付け焼刃だ……」
「なら今のまま続ければいいんじゃないか?」
「――えっ?」

俺から言わせてもらうと、それくらいで崩壊する友人関係なら最初から存在しないのと似たようなものだ。ならば続ければいい。他人の顔色を伺うのも話を素直に聞くのも悪いことじゃないが、本気で続けたいことは自分の意思で続けるべきだ。

「重要なのは自分が何をしたいのかだ。どっちつかずで何も出来ないまま世界に埋没していくくらいなら、やりたいことをやった方がいい。それに――」

俺はギターの弦を弾きながらにやりと笑った。

「路上ライブするだけなら別に俺じゃなくても出来るんだよ。それでも俺が歌うのは、歌ってる俺がこの世界にたった一人しかいないからだ!」

それが分からないんなら、分からなくていいから俺の歌を聞いていけ。
いつものそれとは違った曲だが、これも俺のお気に入りだ。


変化しろって言われたって、どうしろって言うんだよ。横道も脇道もないじゃないか――

逃げるのも許さないのか。選べと言いつつやりたい道だけ塞ぎやがって――

どうすればこの中で輝ける?そもそも輝く方法なんてあるのか――

前へ行く方法は分かってるのに一緒の事はしたくなくて、でもそれじゃ進まない――

諦めることも諦めない事も出来ないままぼーっと立って取り残されてる――


世の中そんなものだ。際限なく広がる夢を追いかけようとすれば、現実と言う塀が邪魔になる。結局進むのは大なり小なり周囲と一緒になってしまい、そんな自分に意味があるのかと疑問を抱いてしまう。
だけど、意味はある。いいや、意味は自分で作るからこそ楽しいものだ。


考えてみればどこで何してても俺はたった一人だ。あいつもこいつもたった一人だ――

他の誰かになんかなれないし、向こうも俺にはなれない――

お前は世界に必須じゃないけど、だからって消えてやるなんて嫌なこった――

いつでも、どこでも、やりたいことやりたいから生きてる――

俺達の存在する理由なんて、それだけあれば十分だ――


少年は、暫くその歌を頭の中で反芻するようにぼそぼそとつぶやき、一度だけアンコールを要求した。そして何かを得たように手を固く握りしめて俺に感謝すると、そのまま帰っていった。
黙って手を振りながら彼の背中を見送った俺は、演奏も終わったし、と自分も帰路についた。

ふと、こうしてSAOに閉じ込められた世界で歌を歌い続けるのは俺の本意なのかと疑問を抱く。親友に置いていかれて、自分を慰めるために歌っているようなものだ。状況に流されてこんな場所に辿り着いていた。
だが、考えてみれば意外と俺は自分のやりたいことをやっている。歌いたい歌を歌い、奏でたい音
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