暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外24話『大丈夫』
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を放った。

「電気泡!」

 クリマタクトを振るう。
 放たれた雷はまるでその後を追うように軌道を歪ませてはるか遠くへと飛び去っていく。
 ナミがクリマタクトでやったことは雷の通り道を作りだすこと。まさに気象をよく知るナミならではの技だが、もちろんそれは雷が小規模だからこそ出来ることで、たとえば神の裁きほどのものとなれば何の意味もなさない。

「いい考えだが……ヤハハ」

 エネルは一瞬だけ視線を周囲へと巡らせてから「そろそろ時間だ。お前の言う男の最期、その目にしかと焼き付けるがいい」
 ――っ……もう逃げきれない!

 しっかりと聞けば首を傾げたくなるであろうエネルの言葉にすら疑問をもたず、ナ
ミは身構える。

「神の――」

 エネルの右腕が雷へと姿を変える。
 雷の一撃を避けるすべがない。
 もうナミに出来ることはない。

 ――ハント……ハント……ハント!

 折れそうになる心を繋ぎ止めようと必死になって彼の名を叫ぶ。
 恐いからといって、後ろは向かない。顔は伏せない、恐怖に支配されない。
 最後までナミが信じる彼を、ナミは信じて、エネルを睨み付ける。
 それがナミに出来る唯一のことだからだ。

「――裁き!」

 神の一撃が放たれた。
 それとほぼ同時だった。

「ハントっ――」
 ――助けて!

 ナミの姿を、音を、感情を。

 ありとあらゆるナミのすべてを呑みこまんと放たれた光の中、ナミはふと横合いから感じた衝撃に身体を突き飛ばされていた。

「……え?」

 気づけばナミがいた場所に。
 体を黒く焦がし、どこか弱々しく、それなのに彼らしい穏やかな笑顔で。

「――大丈夫、ナミは俺が守るから」

 ハントが大きな雷光に呑みこまれた。

「ハント!?」

 ナミの悲鳴が、黒焦げになって気を失っているゾロやロビンの宙を舞った。
 この瞬間、ナミは全てを悟る。

 エネルがワイパーにとどめを刺した当たりから、妙な態度を示していた理由。

 思いついたのはおそらく神の裁きを乱発していた時。それらの攻撃は――ナミにはそれらを避けるという想像が出来ないが、ともかく――ハントには通じなかったということだろう。
 この計画を実行できると考えたのはおそらくはナミの名を聞いた時。

 ――きっとどこかで私とハントのことを知ってたんだ。

 まるで遊ぶかのように小規模な雷を放ったのも、それは間違いなく時間を伸ばしてハントがここに来る時間を待つため。
 そうして、ハントがここにたどり着くタイミングを狙ってナミへと大きな雷を放つ。
 あとはナミを庇うなりして、その一撃をハントが受ければ計画はすべて終了。

 ――全部、このために。


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