暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外24話『大丈夫』
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 冷酷な目で、さらには腕を微かに雷化させているエネルの問いに、ナミはただ恐怖のままに答える。

「ナミ……です、けど」

 感じている恐怖からか、ほぼ反射的に答えるナミだが、いきなり名前を聞かれるという意味の分からない行為にはやはり首を傾げてしまう。なぜだろう、そう考えるナミに、エネルは口を歪ませて笑みを浮かべた。

「なるほど……ならば、少々やり方を変えるとしよう」

 その笑顔は神どころか、悪魔のそれそのもの。

「っ」

 恐怖に息を呑み、慌てて後退るナミへとエネルは笑う。

「……今残っているのは貴様一人だ」

 一歩、また一歩。
 ナミへの間合いをつぶしていく。
 先ほどまで何かに慌てていた様子のエネルの態度はどこへやら。今はまた悠然と恐怖を携える神そのものだ。その恐怖に圧されてナミの思考も回らない。従わなければならならないという強迫観念すら覚えるほど、今のナミはエネルに対して恐怖を抱いていた。

 ――そ、そうだ! とりあえずでもいいからついて行くって言えば!

 エネルの最初の目的は生き残った5人をこれからエネルが旅立ち建国する神の国へと連れていくため。ナミもその一人に数えられていたのだから今からでもそれを言えばもしかしたら助かすのではないか。後に隙を見て逃げ出せばいいのではないか。

 ナミの思考が生き残るための最善策をはじき出す。
 利口な選択だ。
 特に雷の脅威を航海士として理解しているナミなのだから、当然に選ぶべき選択ですらある。 
 無言でナミを見つめるエネルに対して、彼女はそれを言おうとして、だがその言葉が彼女の口をついて出ることは無かった。

『俺があいつをぶっ飛ばす』

 口を開く直前に浮かんだ言葉は、たったの一言。ハントの力強い言葉だった。
 ナミは知っている。クロコダイルを倒すと言って負けた時に、抱いていた苦悩を。
 ナミは知っている。そんなハント自身の弱さを、誰よりもハント自身が一番知り、克服しようとしていることを。

 そして、ナミは知っている。ハントは強いと。
 エネルはハントを負かしたと言った。けれど、ハントはエネルを倒すと言った。そしてそんなハントに、ナミは信じると言った。

 ――……こわい……けどっ! 

 だから、ナミはあらゆる恐怖を振り払い、エネルを睨み付ける。

「あんたなんかハントが絶対に……絶対に倒すんだから!」

 ――きっとハントが来てくれる! ……それまで!

 震える体に喝を入れてクリマ・タクトを両手に構える。その動きで、エネルはマントラの力を使ってナミのやろうとしていることを把握する。
 どこかバカにした顔で、そしてどこか面白そうに。

「では、試してやろう」

 言葉と共に小規模な雷
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