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無欠の刃
下忍編
カンクロウ
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みなどは、自身の体に負担をかけても精神には負担をかけない。心に負担がかけられないのならば、彼女にはあってもなくても同じことである。
 ならば、何故、彼女がそんな行動をとったか。

「チャクラコントロールの正確さを、取り戻すためだよ」

 そう、彼女は自身のチャクラコントロールを取り戻すためだけにやったのだ。
 たかが、チャクラコントロールと侮ることなかれ、彼女のその技術は、最大にして最強の武器であり、尚且つ、彼女が生き残るための絶対的な命綱なのだ。
 毒がぬかれたことで、正確なチャクラコントロールを取り戻した彼女が行ったことは、単純にして簡単なものであった。

 なおって、いく。

 凄まじい速さで。目を見張るほどの速度で。もはや、体の方が追い付けないほどの速さで。体という体に流れた血液が流れる勢いが、急激に衰えていく。
 彼女が自分の体を治すほどのチャクラは、先程自らを切りつけた短刀から得たのだろう。
 自らの中にあるチャクラとカンクロウから奪ったチャクラで、彼女の怪我を治すことは、彼女以外には不可能でも、彼女には不可能ではない。
 だからこその自傷であった。
 すっかり元通りになった体を見せびらかすようにくるりと回り、カトナは言う。

 「これで、元通り」

 と、いっても、失われた血液全てが戻るわけではない。
 体中を活性化させ、アドレナリンを放出させ、脳のリミッターをある程度といたとはいえ、血液を今すぐ作ることは、人間としての性能上、彼女では不可能だ。
 今にも貧血になりかねない状態でありながらも、彼女はカンクロウを睨み付ける。
 彼女がとった行動はデメリットしかないと、誰もが思ったかもしれないが、しかし違う。
 少なくとも、目の前にいる敵を怯えさせることができる程度の効能はあった。
 人間というのは案外、自分に理解できない行動をとる人間と言う物に対して恐怖を感じやすい。
 何よりも、彼はあずかり知らないが、二人の境遇は似ている。
 そんな、似ている人間の強さをまざまざと見せつけられて平気そうな顔が出来るほど、カンクロウは強くなれない。
 怯えを感じたカンクロウが最初にとった手は、自らの傀儡人形でもう一度、カトナを攻撃することだった。
 まだ、彼女を倒すための毒のストックは残っているし、傀儡の仕掛けの半分も見せていない。
 勝機は、まだある。カンクロウは、そう考えた。
 血液を流し過ぎた彼女は、もう二度と同じ手は使えまい。そう判断したが故の攻撃であった。
 が、それをみすみす見逃すカトナではない。
 傀儡人形の素晴らしさと言えば、人間では決して行えない攻撃の多様性だ。
 だから、カトナは真っ先にそれを封じにかかった。
 大太刀をその場につき刺し、彼女は自らの指からチャクラ糸を伸ばす。
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