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無欠の刃
下忍編
カンクロウ
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何ら変わりはない!!!
 だからこそ、カトナはこの男に負けられない。
 自らの弟を化物と恐れるこの男に、死んでも、負けられないのだ。
 カトナは震える手で、地面に落ちていた大太刀を掴み、鞘から抜く。
 もうおぼつかない視界では、その大太刀の輪郭すら分からなかったが、しかし、体は覚えている。
 ずっとずっと支えてくれた、自分にとって唯一無二の物。
 鞘をいつもの定位置に戻した後、握りしめた大太刀を、呼吸と共に、彼女は太ももへあてた。
 何をする気だと目を見開いたカンクロウに、彼女は笑う。
 そして、一気に切りさいた。
 切りさかれた動脈が血を吹くよりも先に、彼女はすぐさま別のところを切り裂く。
 太もも、首筋、額、胸、手首。
 どれも深く刃が食い込んだ結果、ぶしゃあああ、と勢いよく血が飛んだ。
 それは、離れた場所にいたカンクロウの顔にさえも付着する。
 会場に居た人間全員がぎょっと息をのんだ。
 それほどの血液量。それほどの異常行為に、真っ先にカンクロウが怒鳴りつけた。

「お、お前、何してんじゃん!?」
「…きまっ、てる」

 ふらふらと、はやくも血液を失って眩暈がし出している中、カトナは正常とは言えない判断を下しながらも、正常な思考のまま断言する。
 今のカトナの細く薄い体には、血液を介して毒が回っている。
 それは意識を奪いかねない。ならば、ならば!!

 「どく、を、ぬく」

 彼女の体中から流れる血という血は、大量出血という量をとうにこしている。
 動脈という動脈を裂いた彼女の体は、最早、血でぬれていないところがないくらいに真っ赤だった。
 真っ赤で真っ赤で真っ赤で、真っ赤でしかなかった。

 「さっきの毒の量なら、もう、ぬけたはず」

 元々、少ない量でも効果を発揮する毒だったのが、あだになったともいえるが、しかし、誰がこんな手を取るという話だ。
 体中に回った毒を抜くために、血液を抜く。
 裏を返せばそれは、失血しかねない…いや、失血する道しかないのだ。
 此奴は馬鹿か、と誰もが思った。
 今にも倒れかねない彼女は、今にも死にかねない。

「お前、死ぬ気じゃん!?」

 その場にいる全員の気持ちを代表して怒鳴りつけたカンクロウに、怒鳴り付けられたカトナはいかにも不思議そうに、首をかしげた。

「…なに、いってるの」

 カトナには死ぬ気なんてあるわけない。
 ナルトを守れていないのに、ナルトが生きているのに、カトナが自ら死を選ぶ道筋はない。
 だからといって毒を抜くために血液まで抜いたのは、彼女は何も痛みから逃げたかったわけではない。
 彼女は自身に逸脱の術をかけることで、痛覚から…ひいていたは痛みから目を逸らしている。
 そんな彼女にとって毒による痛
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