下忍編
カンクロウ
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さであった。
彼女のチャクラコントロールを潰すためには、まず、その集中力を奪うべきであると、そう判断した。そのために、彼は激痛を与える薬を用意した。
どんな人間であろうと、痛みというものに鈍感には慣れない。無痛症という病気が存在するが、それが病気であると判断される理由は明確だろう。
痛みというのは、ある種の危険信号の一つである。その危険信号を無視して闘い続けれる人間など、存在するはずがない。
次いで、彼女の思考を殺すべく、眩暈や吐き気などを伴う毒を用意した。
人間というのは万全なコンディションでないと、自分の力を100%発揮できない生き物だ。眩暈による視覚の混乱、頭痛による考察の邪魔、吐き気による反射の妨げ。不調に悩まされた状態では、彼女の頭は回らないだろう。
そして最後に渡されたそれは、大蛇丸が過去に行ってきた実験の副産物であるため、カンクロウには一体どのような効能があるかは詳しく分からないが、チャクラの暴発を引き起こすものである。
経絡系を無理に刺激し、脳内にアドレナリンという物質を生み出させ、興奮状態を引き起こす。チャクラコントロールというものは感情に引きずられやすいので、暴発したチャクラが上手く扱えず、忍術が不発する、といった仕組みだ。
その、今まで上げたいずれの毒も、少量でも効果は絶大であり、僅かにつけた傷口から、彼女の体を侵食する。
小柄な彼女の体には常人よりも回りが早いらしく、たった数分しかたっていないというのに、もう、彼女の眼の焦点があっていない。先程から幻覚も見ているらしく、時折、あらぬ方向を見てはこちらを見返すという行為を何度も繰り返している。
これは勝ったと、カンクロウは確信した。
「お前の体には、もう、毒が回ったじゃん。お前だって中忍になりたいかもしれないけど、もしかしたら、ほかの何かのために戦ってるかもしれないけど、お前に勝機はないじゃん」
そう確信しても仕方がないだろう。相手の弱点を突き、相手の長所を殺すことは、戦闘での鉄則であり、今おけるこの戦闘で、確かにカンクロウは優位に立っただろう。
「もう、降参した方がいいと思うじゃん」
しかし、首を振る。
理解不能の行動にいらだった様子でカンクロウは言う。
自分の価値はゆるぎないと安心しきった状態で言う。
「…そんなに勝ちたい理由が、負けたくない理由があるのかよ!?」
しかし、これはカトナを舐めていたとしか…いや、カトナを勘違いしていたとしか言いようがない。
彼女の絶対的な忠誠を、彼女の絶対的なまでの価値観を、カンクロウは、図り違えて、読み違えていた。
カトナの頭の中には、確かに痛みしかなかった。
いたい、くるしいという言葉しか脳に浮かばない。じくじくじくと、体中が異常を訴える。
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