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101番目の舶ィ語
第十五話。『妖精の神隠し』(チェンジリング)の噂
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どういう意味だ?

「ほら。『人喰い村』も、『神隠し』って言われてたでしょ?」

「ああ、うんうん」

確かに最初、俺達は『人喰い村』イコール『神隠し』だと思っていた。
『村』をなんとかすれば、『神隠し』も終わると思っていたんだ。
だけど実際は、村の話がなくなっても『神隠し』は残っていた。

「私達ロアも、個人の『名前』がつくと人格が生まれるの。単なる『魔女』だと、漠然とするけど『魔女喰いの魔女・ニトゥレスト』とかだと、なんだか凄そうでしょ?」

「確かに……なんか凄そうだね」

『人喰い村(カーニヴァル)』の存在に、『朱井詩乃』っていう名前がついた瞬間から……自動的だった村は、詩乃の意思によって動くようになった」

「それまでは、自然発生していた『人喰い村』が、詞乃ちゃんの意思で発生したりしなかったりするようになった、っていう事か?」

「そ。独立して、自分で考えて、犠牲者を取り込んで、消えないように、ずっと存在出来るように、考えるようになるの」

キリカのその説明に驚愕した。
単に『名前』を付けるだけでそこまで出来るようになってしまう。
それなら。
……この町、『夜霞(やがすみ)市』で発生している『神隠し』がイコール『境山ワンダーパークのもの』という認識になるのが当然で。夢を見ている人が遇う『神隠し』はそれほど話題に上らなくなる。
現に先輩も、ワンダーパークの方を最初に怖がっていた。

「だけど、ロアって人の噂に立たなくなると弱くなるんじゃなかったかな?」

「普通ならそうなんだけど、何せ『神隠し』だからね。『神隠し』そのものは有名だから」

「ああ、なるほどね。『魔女』と一緒で、人々が噂しなくなるっていう事がないからか」

「そ。人類の生活から『行方不明事件』がなくならない限りはね」

行方不明者がいなくなれば『神隠し』は起こらない、かぁ。
それは……なくならないな……。
毎年、年間何十万人という人が行方不明扱いされる世の中だからな。
……そんな事件がある限り、『神隠し』はなくならない。
だから『妖精の神隠し(チェンジリング)』は『人喰い村(カーニヴァル)』の方が目立っても消える事はないわけか。

「しかもロアの性質上、噂でしか広がらないんだよね、これが」

「うん? ああ、『忘れられちゃう』からか、この『神隠し』に遭った人は」

「そういう事。実際の犠牲者っていうのは絶対に発見出来ないの。私もちょくちょく使う手だけど、記憶操作ってのは本当に便利だからね」

本物の『魔女』であるキリカが言うと信憑性がある言葉だと思った。

「キリカも、確か記憶を消すんだったよね?」

「うーん、私が食べちゃたロアは確かにみんなの記憶から消えるけど……
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