縋り付きし自由に
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
笑顔を浮かべた。
「他の指示がありましたら教えてください。徐晃さんのしそうな事で張コウ隊関連と言えば大体わかりますけど」
「分かるんですの?」
「ええ。私も警戒してましたからねぇ……それに夕ちゃんでも迷わずこうするかなと。
“子供以外の袁家上層部血筋の人間”で、明ちゃんが食べなさそうな人だけ分けておきますよ」
ゴクリ、と生唾を呑み込む音が一つ。
「善良であっても袁の名なら殺すんですよね? 此れから麗羽お嬢様の評判が良くなりそうなので、子供の虐殺は私に任せてください。南皮での虐殺は見えるカタチで、醜い者だけ百人程度の死体を積み上げれば民には死んだ人数なんて分かりません。
子供については南皮の街以外でやらないと乱世での効率が悪いですから……どうせなら私が攫って隠したとでもしておいちゃいましょう♪ 本当の意味で影を担うことになると思いますので、此れから私の名は表に出ませんし……あ、官位とかはもう興味ないのでいいですよー。美羽様の無事に帰順すればそれでいいです」
悪辣であれど効率を取る七乃が読み取る無駄は、非常にシビアな計算の元で弾きだされていく。
揚州を回していた女に、麗羽と斗詩は少し震えた。
さて……と息を付いて彼女も部屋の出口へと歩いて行く。
「……美羽様が無事である限り私はあなた達の味方です。毒を喰らわば皿まで……くらいの気持ちを持って貰わないと」
本来なら、彼女は反抗の手段を残しておく。口から嘘を吐きながらでも、美羽がわがままに暮らせる為のイトを張り巡らせる。
――普通なら子供達を隠して育てつつ、袁家領の情報操作にも気付かれないような小さなモノを積み重ねて曹操さんへの毒を作り始めるんですけど……明ちゃんと黒麒麟、そして鳳統ちゃんを裏切るのは出来ません。そんなことしたら美羽様が異端者達に食べられちゃいます。
だが、今回ばかりはそれをしない。してはならないと分かっていた。
「心配しないでくださいね。移動させる子供は全て殺します。純粋だからこそ恐ろしいんですよ、子供っていうモノは……ね。
熟成された怨嗟の蜜は蜂蜜よりも甘い。夕ちゃんや明ちゃんみたいな人間を育てるつもりはありませんよ。私の手におえないですし」
それだけ言い残して、彼女は扉を抜けて行く。
残された麗羽と斗詩は、自分達がまだ甘かったと実感させられた。
「……そうですわね。わたくし達は……夕さんや張コウさんのような人を……」
「それでも……麗羽様は手を繋がないとダメですよ。血に塗れた手でも、素知らぬ顔で嘘を吐いてでも、縋り付いて民の手を取らなければダメなんです」
「御心配には及びませんわ。わたくしはもう……決めておりますゆえ」
少しだけ、麗羽の手が震えていた。
そっと優しく、斗詩が手を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ