縋り付きし自由に
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羽の表情が一寸だけ引き攣った。
彼女の内心を見抜いてか、七乃はぺろりと舌を出しておどけた。
「ふふ、人は使うモノです。自分の力が足りないなら他を使えばいいだけなんですよ。存外、劉備さんの掲げるモノも的を得ているかもしれませんね。まあ私の場合、袁家の嫌がることをしたくてたまらなかったから下準備してきてたわけですけど」
一つ二つと指を折って、どうやってこの家を潰そうかと考えていた年数を表す。
片手を握った所でやめた。数えるのすらバカらしい、と。
知っているのは明。夕と共に計画してきた算段を此処で使ったというだけで、七乃の優秀さも知っているから、彼女は驚かない。
「さて……明ちゃん? どうします? いえ、どうやって殺しますぅ?」
麗羽への簡易報告も終わったのだから、今度は七乃が尋ねる番。
彼女としても興味はあった。たった一つの大切を失った同類が……何を選ぶのか。
涼しい顔をしていた明は、宙に視線を浮かべて思考に潜る……ことなく、にやりと笑った。
「四分の一はあたしが食べる。権力の強い奴から順番でいいよ♪ 七乃が殺したいゴミとか使いたい子とか居たら好きに持って行ったらいい。ああでも、袁の王を生んだ両親は袁麗羽に殺させないとダメなんだけどー……それ以外については秋兄から楽しそうな事聞いてるんだー♪ だから全部で三分の二くらいはあたしに頂戴ねー」
「……っ、黒麒麟……徐晃さんから、ですか?」
七乃の肩が跳ね、息が詰まった。彼女の天敵に等しい彼の名が、今度はどんなことをするのかと強制的に恐怖を植え込む。
「そそ、あたしの為のバカ共がたくさん減っちゃったかんね、増やして来いだってさー。ひひ、あの人ってほんっと頭イカレてる……其処がイイんだけど♪」
訳が分からない。
そう言いたげな視線を明以外の三人が向けた。にやにやと笑う明は教える気がないようで、くるりと反転、謁見の間の出口へと歩んで行った。
「牢屋にはまだ行かないから準備しといてね、斗詩ぃ。楽しい時間は二、三日後だしぃ……あたしは鍛冶屋に頼んだ牛さんの様子見てくるよー」
ひょこひょこと歩いて行く彼女の背は目に見えるくらい楽しげだった。
部屋から一人抜けて、七乃にとって居辛い静寂が場を包む。
誰も話す事が無いかに思われた。麗羽は玉座の上で少しだけ眉を寄せて悩み、斗詩は腰に下げた竹簡のメモをカラカラと開いて確認し始める。
もう首を刎ねられることは無さそうだと、何処か思い切った結論に落ち着いた七乃が口を開く。
「麗羽お嬢様には民衆に対して公然と真名開示をして貰う必要がありますよ」
「あ、それはもうやって来ました」
「へ?」
間の抜けた声。斗詩の返答に七乃はあんぐりと口を開け放つ。
「このわたくし、袁
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