五十話:ただ一人君の為なら
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犠牲になった一族の数だけオリジン達精霊を殴りたいという憎悪を込めた拳が扉にぶつかり、轟音が響き渡る。そして、しばらくそのままの状態で固まっていたビズリーであったがついに最後の時を迎えて白目を向いて力なく崩れ落ちる。ビズリー・カルシ・バクーは最後まで己の為すべきことなしてその生涯を終えた。その最後の姿をルドガー達と黒歌達はしかと胸に刻む。
『ルドガー……みんな来てくれてうれしかったよ……ミラも』
『……ああ』
エルが目に涙を溜めながらここまで来てくれた仲間達を見つめる。そして、“ミラ”のことがあって以来、複雑な思いを抱いていたミラにもエルは嬉しかったと伝える。それに対してミラは嬉しそうに微笑む。その後、エルとルドガーは一緒に審判の門の前に歩いていき二人そろって手をかざす。すると、二人が触れた場所から光が放たれ、二千年ぶりにその扉は開かれる。そしてその奥から炎と共に少年の姿をした一人の精霊が現れる。
『こいつが大精霊オリジン……』
ガイアスの言葉に小猫もこんな少年が何でも願いを叶えてくれる存在なのかと思ってしまう。正し、今のオリジンの姿はあくまでも仮の姿である。二千年もの間、瘴気を浴び続けてきた為に力を落とした姿が今の姿なのである。
『そうだよ。こんにちは、ガイアス王』
『俺の事を知っているのか?』
『もちろん。魂たちが、世界中の出来事を教えてくれるからね』
オリジンのそんな台詞にミラが随分人に興味があるのだな、と聞くと君程じゃないとオリジンは返す。それに対してミラは早速、分史世界の消去と魂の浄化を頼む。また、オリジンだけでは無理なら自分も力を貸すと言うが、それをジュードが止めようとする。そんなところにクロノスが割り込んでくる。
『ふざけるな! まだオリジンに浄化を強要するのか! 貴様らは自分の不始末をオリジンに押し付けているだけではないか!』
オリジンの、友の為に激昂するクロノスに対してオリジンが手をかざす。するとクロノスの力をもってしても一切直らなかった傷が一瞬にして治ってしまう。その事にイッセーは何でも願いを叶えられるというのは事実なのだと感じる。
『ありがとう、クロノス。ずっと僕を心配してくれてたんだね』
『わ、我のことはいい! それより人間達に、己が罪業を思い知らさねば―――』
『うふふふ』
『何を笑う?』
オリジンのお礼に対して明らかにツンデレな対応を見せるクロノス。そしてなおも人間に対してその罪を償わせようとするがそんな様子を見たオリジンに笑われてしまう。そのことに怪訝な表情を浮かべてオリジンを見つめるクロノスだったが、自分がオリジンの大好きな人間とそっくりと言われてしまい、怒ることも出来ずに俯く。
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