五十話:ただ一人君の為なら
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』
『ビズリー……これで終わらせる!』
そして、第二戦が始まる。骸殻の力は段階によって変わるが実はそれだけは無い。同じ段階の能力者でも力が大きく変わることもある。ルドガーはクルスニク一族の二千年の歴史の中でも片手の指で足りる程しかいないフル骸殻に至った。
そしてその力は―――二千年の中で生まれたどの一族よりも上だった。ルドガーはその全てを超越した力でビズリーを圧倒していく。兄弟にとっては皮肉なことであろうが、ルドガーは間違いなくクルスニクの才に誰よりも愛されていたのだ。
『ルドガー、お前は!』
『ビズリー、お前は全ての死を無意味にしたと言ったな? でも、それは違う』
ビズリーは最強の骸殻と最強の力を合わせた自身の力でも及ばない事に畏怖の念を感じていた。また、同時に自分の歯車を狂わせたのが息子だという事にも皮肉を感じていた。そんなところにルドガーが落ち着いた声で話しかけて来る。
『兄さんの死は無駄じゃない。俺に色々な物を受け継いでくれた。意志を、覚悟を、俺は受け継いできた! そしてこれが―――俺達の意志だ!!』
ルドガーは無数の槍をビズリー目掛けて飛ばしていく。そこまでは『マター・デストラクト』と変わらないがそこからが違った。巨大な剣を両手に持ち、ビズリーの懐に入り縦横無尽に切り裂いていく。これはユリウスがルドガーに授けた奥義『双針乱舞』である。
そして、止めとばかりに剣を十字に持ち力を、意志を込める。まるで、かつて兄が自分に対してぶつけた秘奥義『祓砕斬・十臥』の止めの部分のように。彼は受け継いだ意志と覚悟の全てを解き放つ。
『うおおおっ! 継牙・双針乱舞っ!!』
十字の斬撃がビズリーの体を、野望を―――意志を斬り裂く。
ビズリーは斬り裂かれたダメージで骸殻状態から元に戻り、力なく崩れ落ちる。
ルドガーは―――兄弟は父を越えたのである。
ビズリーが倒れたのを見届けるとルドガーは骸殻を解きすぐさま苦しそうに倒れているエルの元へと駆けて行く。そして抱き起して自分の名を呼ぶ愛しいアイボーに微笑みかける。
そんな時だった。ビズリーが死にかけの体を執念により無理やり動かし一歩、一歩、たどたどしい足取りではあるが確実にルドガーとエルの元に近づいていく。そこへ、クロノスの罠が消えたおかげで進むことが出来た仲間達が現れる。
『ルドガー、お前はっ!』
『後ろだ、ルドガー!』
「ルドガー、後ろよ!」
執念を込めた拳をルドガーに向けて振り下ろすビズリーに気づいたミラとリアスが同じように叫び声を上げる。しかし、その心配は不要であった。ビズリーは目を見開いて振り下ろす拳を止める。なぜなら、その喉元にルドガーは振り向くことすらせずに槍を
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