五十話:ただ一人君の為なら
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引き抜く。
『邪魔をするなら容赦せん』
引き抜いた槍をビズリーは自分の胸に突き刺し自らの中に取り込んでいく。その事に驚く黒歌達をよそにビズリーの体から天まで届くかのような凄まじい火柱が立ち上る。そして変身を終えたビズリーの背中にはどす黒い蝶の様な羽が生えていた。それはオリジンの無の力を取り込んだ証拠。最強の骸殻に最強の力、それらを掛け合わせた今のビズリーの姿は端から見ている黒歌達からにも凄まじい威圧感を与える物だった。
『無駄な力を使わせる』
『ルドガー……』
『無駄なんかじゃない! 俺は―――エルを救ってみせる!』
無駄な力をと言うビズリーに対してルドガーは力強くそう叫び返す。そしてルドガー達とビズリーの戦いが始まる。ビズリーの圧倒的な力にも怯むことなくルドガー達は戦い続けていくのだったが、ビズリーがついにその力の神髄を見せる。
姿勢を低くして右の拳に力を込めるビズリー。その構えをイッセーは見たことがあった。ルドガーがよく自分に対して使っていた技のオリジナル―――
『容赦せん! はあっ、絶拳っ! どりゃあああああっ!!』
『ぐああああっ!?』
極限まで威力の込められた拳が骸殻状態のルドガーの腹部に突き刺さる。簡単に言えば腹パンであるがその威力は想像を絶する物だった。まず音だ。人体からは決して聞こえてはいけないような音が辺りに響き渡る。さらに、その拳の威力はルドガーの体を貫通し背中から波動として吹き出て来るだけでなく、近くに居たジュード達をも衝撃波で巻き込み吹き飛ばす。
そして直接受けたルドガーは高々と宙を舞い、口から血を吐き出し、白目になりながら骸殻状態から強制的に元に戻らされる。恐らく骸殻を纏わずにくらっていれば即死物だっただろう。何せ、巻き込まれただけのジュード達ですら瀕死に追い込まれただから。
そのままルドガーは重力に従い無残に地面に叩きつけられ。自分の時計とユリウスの時計を落としてしまう。そんな様子に黒歌は思わず悲鳴を上げて駆け寄ろうとするが小猫に羽交い絞めにされて止められてしまう。勿論、小猫も心配ではあるが行ってもどうしようもないので止めているのである。
『調子に乗るなよ。……やはりユリウスの命で橋を架けたか』
『…………っ』
『ルドガー……メガネのおじさんを……』
ビズリーがユリウスの時計を見てそう呟く。その顔は骸殻で覆われているためにどんな表情をしているのかは分からないがその声には僅かに怒りがあった。ビズリーはビズリーなりに息子達の事を想っていたのである。だが、審判を越えるためには妻であろうと息子であろうと利用するつもりだったのには違いない。
しかし、リドウを殺して橋に変えた時は僅かにユリウスを殺さずに済ん
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